地方私鉄と「台北メトロ」友好協定の本当の狙い 「知られざる観光地」求める訪日客取り込めるか

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協定に基づき、台北メトロの駅のデジタルサイネージを用いて、アルピコ交通および長野電鉄沿線観光地のPRが始まっているが、今後は日本側でも台湾の観光PRが展開される予定だ。

アルピコ交通といえば、松本駅―新島々駅を結ぶ鉄道(上高地線)よりも、東京、名古屋、大阪の三大都市圏と長野県各地を結ぶ高速バスのほうが馴染みのある人が多いかもしれない。白い車体に「Highland Express」のロゴとレインボーカラーのバスは一度は見たことがあるという人が多いのではないだろうか。

この高速バスをサイネージに活用すれば、より多くの日本の人々に台湾の観光地を知ってもらう機会になりそうだが、今回の協定は、あくまでも鉄道事業に限ったものだそうだ。よって、台湾のPRは上高地線の駅や車内に限られることになる。

アルピコ 3000形
アルピコ交通上高地線の電車(編集部撮影)

それでもなお、台北メトロ側からのプロポーズで友好協定を結んでいるというのは、日本の地方の観光地を台湾の人々に知ってもらいたいとする、台湾側の並々ならぬ熱意を感じる。

地方鉄道の利用支える「訪日観光客」

地方の公共交通需要が先細りする中、インバウンド観光客の獲得は非常に重要だ。上高地線の利用者数は長らく微減を続けていたが、2010年を境に増加に転じた。地域利用者の増加もあるが、国内外問わず観光客の存在も大きい。2023年現在の利用者数は、コロナ前(2019年)に比べてまだ低い水準であるが、定期外のみを見ると、すでにコロナ前を大きく上回っている。

上高地線は終点の新島々駅でアルピコ交通の路線バスに接続し、上高地、乗鞍方面へのアクセスを担う。とくにインバウンド観光客は、都市圏と上高地のみをバスで単純往復するというよりも「ジャパン・レール・パス」などを使ってJR線で松本を訪れて市内を観光し、翌日に上高地線を利用するパターンが非常に多いという。また、さらにその先、高山などに抜けて行くという回遊行動を取るという特徴がある。

新島々駅 ホーム
上高地線の終点、新島々駅(編集部撮影)
新島々バスターミナル
新島々駅に併設されているバスターミナル(編集部撮影)

潜在的に観光需要のある路線ではあるが、台北メトロとの友好協定によりさらに利用者が増える可能性がある。

反面、このような友好協定は過去の例からしても、一過性で終わりがちという面も少なからずある。当初は上高地や湯田中渋温泉郷のスノーモンキーなど、その地域の顔となるような観光地をPRすることで成り立つが、いずれそれも飽きられてしまう。

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