リピート率9割、「濃すぎる鉄道ツアー」の舞台裏 クラブツーリズム「鉄道部」キーパーソンを直撃

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そして田端信号場で7分ほど停車、のち金町駅に向けて出発……の予定が、常磐線内で事故があり、その先に進めなくなってしまった。

いきなり予定変更である。心配をよそに、クラブツーリズムの方は「以前もこういうことがありましたから」と落ち着いている。

窓の外を見ると、赤と緑の旗を持っている方が待機していた。ここは貨物線の信号機がないそうで、手旗信号で合図するそうだ。もしかしたら大変めずらしい光景を見ているのかもしれない。

この間を埋めるかのように、再び大塚さんの車内アナウンスが始まる。

「私は北千住出身で、ヨン・サン・トオに生まれ(1968年10月)、常磐線、東武線、京成線を眺め育ちました。鉄道が好きで、いつも見に行っていましたが、閉まるのを見たことがない踏切があり、気になっていました。そして後に、ここが貨物線の線路だと知りました」

幼少の頃から貨物線に興味を持って育ったそう。まさに筋金入りだ。

結局、1時間半以上経って、ようやく列車が動きだした。これだけの遅延を巻き返せるのだろうか。通過駅では、撮り鉄の方を多く見かけた。やはり185系は人気がある。

新金貨物線を走る185系(写真:クラブツーリズム鉄道部)

次の金町駅では40分ほど停車する予定だったが、一瞬停まってすぐ折り返し、出発。こうやって先程ロスした時間を稼いでいくらしい。ここからは新金貨物線に入り、新小岩信号場へ。

運転区が変わるので、線路ぎわに交代する運転士、車掌らが待機していた。これもレアな光景だろう。

フル回転するエンジン音がたまらない

外房線の誉田駅では唯一の扉開放、つまり列車を降りてホームに出ることができた。本来、約30分の停車予定だったが、先程の遅延を巻き返すため、5分でこちらも折り返した。

走っている間、6号車では子どもたちに向けて、大塚さんの「夢を仕事に」という講義が始まった。クイズ大会、昼食(駅弁)と続き、その次は、元名鉄運転士で鉄道ユーチューバー、起業家として活動されている西上いつきさんの「キャリア設計」についてのお話。子どもたちはみんな熱心に話を聞き、質問をしていた。

ゲストで登壇した西上いつきさんは銚子電鉄の取締役でもある(筆者撮影)

一方列車は京葉線を走り、南船橋駅から猛スピードで武蔵野線を回り、西国分寺駅あたりで本来の予定時刻に追いついた。すごい巻き返しである。フル回転するエンジン音も、マニアにはたまらない。

新鶴見信号場へ向かう途中の生田トンネルは、長さが約10.3kmもあり、JR東日本管内では2番目に長いトンネルだそうだ。しかしここは貨物線なので、滅多なことでは一般客は通ることができない。こういうレア感はいい。

大船駅付近では、サフィール踊り子とすれ違った。新旧の特急踊り子号が再び出会い、個人的にも胸熱だった。

横須賀駅で折り返し運転、あとは終点の品川に向かうだけとなった。最後は1車両ごとに景品を賭けた大塚さんとのじゃんけん大会を開催。8時間半は意外にもあっという間に過ぎた。

車内放送をする大塚さん(筆者撮影)
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