大国インドが中国のような独裁にならなかった訳 絶対的な強権支配が成立しにくかった土壌

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インド人民党に対抗しうる政党が、インド国民会議派(Indian National Congress)。インド人民党よりはリベラルな志向を持ちます。2つの政党が交代で政権をとっていたために、国民会議も財界との関係も深く、インドは「小さな政府か、大きな政府か」どちらを志向するか、一概には言えないところがあります。

いくつかの地域政党も存在する

広大な国土を誇るインドには、いくつかの地域政党もあります。「地域性が強く、言語も多数」というのはスイスやベルギーと似ていますが、彼らの多くは複数の言語を話します。しかしインドは国会でも通訳が必要な時もあるほどですから、それぞれの地方を代表する政治家が不可欠なのでしょう。

インド最大の商業都市ムンバイを抱えるマハーラーシュトラ州で強いのがシヴ・セーナー。ヒンドゥー教を重視する保守色が強い政党で、ムンバイの市政を担い、移民に対して厳しい姿勢を取っています。ムンバイは多くの日本企業が拠点を置いている地。排外的な政党が影響力を持っていることは知っておいたほうがよいでしょう。

南部のタミル人が多いタミル・ナードゥ州で強いのが、州議会で与党となっているドラヴィダ進歩同盟。当たり前と言えば当たり前ですが、ドラヴィダ系であるタミル人の民族性を尊重。宗教的にはヒンドゥー教が中心ですが地方色が強く、仏教やジャイナ教、キリスト教徒もいます。

アーリア系の人たちは「母語のヒンディー語が話せれば、インドで生きていける」というところがあるので、英語はあまり得意ではありません。しかしタミル語が母語のドラヴィダ系の人たちは、「ヒンディー語を学ぶなら、英語のほうが良くない?」と考えるのか、南部では英語教育が比較的盛んであることもあり、英語話者が相当数います。

昔ながらのインドの中心は西部、北部ですが、最近は南部にIT企業が増えて活気付いており、経済も発展しているのは、こんな影響もあるでしょう。

開放的で経済発展が続く南部では、モディ首相のインド人民党はあまり支持を広げられていません。ヒンドゥー教至上主義的な政治は、南部では受け入れられにくいのです。

『教養としての世界の政党』P.324より
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