東証・大証統合でも世界上位とはなお乖離
国際的な地盤沈下への危機感が、創立来133年間独立を保ってきた両取引所に統合を決断させた。
東京証券取引所グループは2012年夏ごろに大阪証券取引所に対し1株48万円で株式公開買い付け(TOB)を実施。66・66%を上限に買い、子会社化する。その後、大証を存続会社として合併し、13年1月に持ち株会社「日本取引所グループ」を新設。さらに1年かけ、(1)現物市場の東証、(2)デリバティブ(派生商品)の大証、(3)上場審査を行う自主規制法人、(4)決済を行う清算機関、の4子会社を置く形に再編予定だ。
「東京だ、大阪だと言っていたら日本は負ける」(斉藤惇・東証社長)、「日本市場のプレゼンスは大きく低下している。統合して外部環境に即応した市場を作る」(米田道生・大証社長)と、両社首脳は危機感をあらわにした。
だが、市場衰退は今に始まったことではなく、バブル崩壊後ずっと続いている。根本には日本企業の魅力低下や投資家離散があり、根が深い。
統合効果も未知数だ。将来のシステム統合で約70億円のコストが節減でき、清算機関統一で投資家の負担も減るというが、市場活性化の効果を疑問視する声は多い。
危機感の割に統合決断が遅すぎた印象は否めない。隣の韓国はアジアの金融センターを狙う国家戦略の下、05年に国内の証券・商品先物・店頭の各取引所を統合して韓国取引所を結成。株価指数オプションでは世界トップの取引量を誇り、デリバティブ全体でも米シカゴのCMEグループなどと世界一を争っている。