一流は、自分の「市場価値」なんて気にしない 「常識破りの扇風機」を生んだ「規格外」の発想

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イノベーションとは、今までの常識を破壊し、新しい常識をもたらすことです。その過程において、過去の前提条件が変わります。

古くはウォークマンです。「音楽は家で聞く」という前提を、「音楽を外で持ち歩く」という前提に変えました。任天堂のWiiは、「画面の中のキャラクターを動かして楽しむ」から「自分たちが動いてキャラクター化する」に、ゲームの前提を変えました。

イノベーションは、過去の前提、言い換えると過去の規格を書き換えます。一方で、規格化に向かうことは、イノベーションから遠ざかることです。

イノベーションの敵は、社会制度であったり、硬直化する組織であったり、さまざまあります。特に企業や組織には、規格化を迫るさまざまな力が働いています。

規格化を迫られる典型的なシーンをご紹介しましょう。転職を検討している社員に対して、次のような言葉をかける上司は、決して少なくはありません。

「うちの会社で成果を出せない人間が、外で活躍できるわけがないだろう」
「わが社でまだまだやれることはある」

 

ひとつ目の上司の発言は、極端な言い方になりますが、サッカーをやろうと思います、と言っている人に対して、まずは野球で成果を上げてからだ、と言っているようなものです。野球というフィールドから外に出ようとしている人を、内側に押しとどめる圧力をかけてきます。これは、今、自分が置かれている規格から離脱することを抑制しようとしています。

2つ目の上司の発言は、これもわかりやすいですね。今いる規格内でやりなさい、というメッセージです。

当てはまらないケースももちろん少なくないですが、多くの企業では、先ほどの転職のシーンだけでなく、社員が規格から逸脱することを抑制するような圧力が存在します。

イノベーションの真の敵は自分自身

他者から規格化を強いられるだけでなく、自ら規格化に向かうという状況も、多くのところで存在します。

実は、イノベーションの真の敵は、「自らを規格化する自分」です。自分を、工業製品のように、不良品にならないように、社会や組織が求める規格に合わせていく。そんな自分自身です。ほかの誰でもなく、自分自身が変革の芽を摘んでいくのです。

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