一流は、自分の「市場価値」なんて気にしない

「常識破りの扇風機」を生んだ「規格外」の発想

みなさんが、何かよい商品アイデアを思いついたとしましょう。そのアイデアをFacebookに投稿して、たくさんの「いいね!」をもらったら、うれしいと感じますか。

アイデアに「いいね!」がたくさんつくということは、たくさんの人に瞬時に理解できてしまうという証拠であり、革新的なアイデアではないという証しです。「いいね!」は、最初のうちはあまりつかないほうが、革新的である可能性を秘めているのです。

市場調査をしないバルミューダは、「いいね!」がたくさんつくかどうかなど、おかまいなしということです。

もちろん、バルミューダのように市場調査をしないだけで、革新的な製品が生み出せるというわけではありません。その後に発売した「バルミューダ・ザ・トースター」という商品も話題になっています。この製品は、パンの内側を「しっとりした」状態に保ったまま、表面を焦げる手前ギリギリでカリカリに焼き上げることができるトースターです。このトースターを導入した店舗で焼き上げられたパンを求めて、長蛇の列ができています。

焦がさずに外はカリカリ、中はしっとりという、大手メーカーが実現できなかったことを、社員数約50人の小さな企業が実現したのです。

バルミューダには、「もう完成されていて、改善する余地はないと思われるものでも、そんなはずはない。常識を疑い、覆す」という強い姿勢があります。この姿勢が、革新的な製品を生み出す同社の強みとなっています。バルミューダは、扇風機、トースターというコモディティを、過去の常識(今回でいう「規格」)を覆すことで革新しています。バルミューダは、今回お伝えしたい「規格外たること」の象徴に見えます。

規格外と呼ばれるイノベーター

ご存じの方も多いかもしれませんが、世界最強の起業家といわれるイーロン・マスク氏は現在、人類の火星移住計画を進めています。マスク氏が火星移住を進める目的は、地球の環境が激変し、地球上の人類が絶滅したとしても、「ヒト」という種を太陽系から消滅させないためです。スケールの大きさに、驚きを禁じえません。

イーロン・マスク氏だけでなく、イノベーターと呼ばれる人たちは「規格外」と呼ばれます。

圧倒的なイノベーションの数々を残したスティーブ・ジョブズ氏は、12歳のとき、当時、ヒューレット・パッカードの社長、ビル・ヒューレット宅に直接電話を入れ、自分が作ろうとしていたものに必要な周波数カウンターのパーツをもらえないかと申し入れ、その結果、パーツを本人からもらっています。ジョブズ氏はこの頃からすでに、規格外の片鱗を見せ始めています。

一方で、日本で規格外というと誰が思い浮かぶでしょうか。私は真っ先に、幕末の英雄、高杉晋作が思い浮かびます。

高杉晋作は幕末期、外国からの侵攻に対するために、藩に無断で軍艦を購入しました。突然、現在の貨幣価値に換算して数億円に上る身に覚えのない請求を受け取った長州藩の驚きは、いかばかりだったでしょうか。

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