トヨタとBMW、燃料電池車の共通点と相違点 「MIRAIと双子?」のプロトタイプに乗ってみた
シリンダー内に水を噴射して、その気化熱で筒内の温度を下げてノッキングを防止する「ウォーター・インジェクション(WI)」を、排気量1000cc3気筒ユニットに搭載したテスト車も試すことができた。
古くは、ゼロ戦にも搭載された技術で、航空機の分野では高度が上がると水が凍ってしまうため、アルコールを混ぜて噴射していた。このことをBMWのエンジニアに伝えると、「フォッケウルフの方が先に開発していた」という。
フォッケウルフとは、BMW製エンジンを搭載した戦闘機。BMWという社名は、もともと「バイエルン・エンジン製作所」の頭文字をとったもので、戦前は特に航空機用エンジンの制作で定評があった。戦後になって自動車の製造をはじめたが、創業当社からずっと自他ともに認める“エンジン屋”であることが、このような発言につながっているのだろう。
ベース・ユニットの圧縮比は9.5で最高出力110kwを生じるのに対し、テスト車では、WIを搭載することで圧縮比を11.0まで高めて、「i8」に搭載されるエンジン(170kW)と同程度の160kWまで最高出力を高めている。
エアコンから生じる水を活用
具体的には、水と燃料の混合物を直接筒内に噴霧し、吸気を冷却してアンチノック性を高める。加えて、点火タイミングを早めて、圧縮比を高められる。これにより、高負荷領域では23%以上も低燃費化できて、出力を10%高められる。低中負荷領域では3〜8%の高効率化になる。エアコンを使うことで生じる水を活用するため、水を追加する必要はない。
BMWは、エンジンや走りのイメージが強い自動車メーカーであるが、次世代車に欠かせない電気駆動の技術における先進性を保ちつつ、走行性能が高く、ドライビング・プレジャーに優れるイメージを継続していく方針だ。FCVでは先行する“相棒”トヨタのノウハウを借りながら、BMWらしい車を仕上げられるかがポイントになるだろう。
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