サムスンが繰り出した「指輪型デバイス」の正体 アップルとはひと味違うウェアラブル戦略の狙い
スマホメーカーならではの強み
健康データを取得できるスマートリングは、ほかのメーカーからもすでに販売されている。機能はGalaxy Ringと同等であり、少しずつユーザーを増やしている。だが、それらの多くはフル機能を使うために月額料の支払いが必要となっている。それに対しGalaxy Ringは月額不要、本体を買うだけでフル機能を使えるのは大きな差だ。
また、Galaxy Ringはサムスン製品であることから、サムスンのほかのスマートウォッチやスマートフォンの健康・生体データと合わせての活用が可能だ。例えばス運動データはスマートウォッチ「Galaxy Watch」でデータを取り、睡眠データはGalaxy Ringを使うということもできる。それらはすべてサムスンのアプリで単一管理できるため、複数のアプリを使い分ける必要がない。
Galaxy Ringの機能はベーシックながら、ほかの製品との組み合わせで、より完璧なユーザー体験を生み出せるのが、スマートフォンメーカーが手掛けるスマートリング最大のメリットだろう。
なお、スマートフォンとの連携機能として、Galaxy Ringをはめたまま指先をつまむように素早く動かすと「カメラのシャッター」「アラームをOFF」という機能も搭載している。単純な機能だが、カメラ使用時にリモコンが不要だし、朝の起床時に起きたくない時、指先操作でアラーム音を消せるのは便利だ。
ところで最近、日本では支払い機能に使えるスマートリングがにわかに注目されている。Galaxy Ringには支払い機能はなく、それに対して5万円を超える価格(アメリカでは399ドル)は高いという声もある。しかし、健康管理の機能は、それを補うほど格上だ。今後、生命保険会社との連携など、ビジネスの拡大も期待できるだろう。
アップルはApple Watch、グーグルはPixel Watchで自社プラットフォーム内でデジタルヘルスを積極展開している。サムスンはスマートウォッチの欠点を補うスマートリングを投入したことで、デジタルヘルス市場における優位性を高めたと筆者は考える。
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