東海道新幹線ホーム「黄色い無人店舗」売れるのか カメラで購入商品を判別、出店場所にある狙い

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JR東海との関係では2023年6月、焼津駅にTTGのシステムを採用したファミマがオープンしている。今回は在来線ではなく東海道新幹線のホーム上である。JR東海との連携にどのような意味があるのか。TTGの阿久津智紀社長にこんな質問を投げかけると「それはちょっと……」と苦笑いした。JR東日本とJR東海の関係に関する質問は現場でビジネスをする人たちには的外れだったようだ。

阿久津社長によれば、今回の取り組みの意義は、ホーム上での展開という点にある。これまでは店舗内にカメラが設置されていたが、今回はホーム上といういわば「屋外」である。東海道新幹線のホームという人の往来が激しい場所でカメラが購入する人の動きを捕捉するのはシステムにとっても難易度が高い。

東京駅無人店舗 カメラ
店舗の上部に取り付けられた多数のカメラ。客が手に取った商品を読み取る(記者撮影)

しかも屋外に設置していることで、雨や風の影響も受けやすい。今回はホームに屋根があるが、ここで得られた知見は将来、完全な屋外での無人販売に活用される可能性もある。

車内での商品販売にも生かせる?

今回東海道新幹線のホームに出現した東京ばな奈の黄色い店舗は、急いで新幹線に乗りたい人が素早く商品を購入できるという点で便利な存在だが、それ以上に、バーコード読み取りの必要すらないというユニークな購買体験を実感してもらいたいという狙いもある。確かに鉄道ホーム上での無人店舗で土産を買えば、その経験も「土産」話となりそうだ。

今回の店舗は「無人決済のトライアル店舗」という位置付け。今後については利用状況を見ながら、商品アイテム数の拡大や設置場所について検討していきたいというが、無人化・省力化というメリットを生かせば、活用できる場所はいくらでもある。

たとえば、ホーム上にシャッターが下りたままの店舗は多数あるし、さらにいえば東海道新幹線の車内ワゴン販売の廃止により、車内で商品を買いたいというニーズも存在する。今回の「トライアル」で得られた知見が今後どのように鉄道の小売りビジネスで生かされるか、鉄道関係者の多くが注視している。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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