業績を良くするには、「太鼓」と「鐘」を鳴らせ 暗かったシステム会社が明るい会社に

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帰ってきたときには入り口上の鐘を鳴らす(音量にご注意ください)

ある時、小林社長がボクの所にやって来て、そっと悩みを打ち明けました。

「竹原さん、うちの社員はあいさつができへん。社員が外へ行く時、『行ってきます』と言うても、誰も『行ってらっしゃい』と言いよらへん。外から帰ってきても『お帰り』と誰も返事しよらへん。うちの会社は暗い、と思うてますねん」

ボクは、会社を明るくするには、仕組みがいると思っていました。いくら、元気で明るくいこう、と社長が口で言っても、会社は元気にも明るくもなりません。なぜできないか、と言えば、仕組みがないからです。たとえばある会社は、鏡を玄関に置きました。社員は会社に入るとき、必ずニコッと笑って入りましょう、と決めます。これだけで、笑いグセができます。鏡を置くだけで、仕組みができるわけです。

そこで小林社長自身が考えついたのが、「鐘・太鼓運動」でした。

小林さんは、小さな太鼓と鐘を自分で買って、それを会社に置いたのです。その結果が、先程、ボクが驚いた光景です。

営業マンが疲れて帰ってきて「ただいま」と言っても、誰も返事をしなかったら、ああシンド、で終わりです。ところが「チンチン」と鳴らすと「お帰り」とみんなが大きな声で迎えてくれます。疲れていた営業マンは、明日も頑張ろう、と元気が出ます。それで実際に、この鐘と太鼓を入れてからは業績がぐんぐん上がっていったんです。

元気なあいさつの輪が広がっていく

ケー・エス・ディーは、よその会社に社員が駐在してITサービスを請け負う事業を展開しています。取引先の仕事の現場でも、ここのチームだけが元気なあいさつをします。ほかの会社から来ているチームもいますが、ケー・エス・ディーのチームだけが、みんなキチッと「おはようございます」「ただいま」とやるわけです。そしたら、相手さんは「ケー・エス・ディーだけは、ちゃんとあいさつしよるな。やっぱりあそこは、ええな」となって、そこからどんどん駐在型の仕事が増えました。

この10年、すべての駐在先であいさつ運動を進めた結果(これを、ケー・エス・ディーでは「あいさつ一番」活動と呼んでいます)、お客様も一緒にあいさつしてくれるようになりました。元気なあいさつの輪が広がっています。

この会社、ボクもテレビ局に紹介したりして、徐々にマスコミに名前が知れ渡っていきました。それはそれで宣伝になっていいんですが、もうひとつ言うと、社員がうれしいんです。

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