だが、2009年に現CEO兼会長の松本晃氏がトップに就任すると、劇的な変化が訪れる。2011年にはフルーツグラノーラの商品名をフルグラに変更。「こんなに良い商品が30億円程度の売上げで良いはずがないだろう。フルグラで最低100億円!」という指示が飛んだ。
しかし、この当時、「シリアル」の市場規模はといえば、全体でも250億円程度だった。しかも、フルグラは、シリアル市場のその一部にすぎない。つまり、競争の激しい市場でどれだけシェアをとっても、目標到達は難しい。
そこで、同社は大きな発想の転換を図った。
シリアル市場だけを見るのではなく、全体で17兆円ともいわれる「朝食市場」に狙いを定めたのだ。 つまり、シリアル市場内での狭いシェアの奪い合いをやめ、他の朝食市場から新規顧客の取り込みを狙ったのだった。
フルグラオムレツ、フルグラパンケーキ・・失敗の連続
しかし、「シリアル以外の朝食」とひとことで言っても、今度はマーケットがあまりに広すぎる。パンなどの洋朝食もあれば、和朝食もある。そこから「顧客を取り込む」のは容易ではない。実際にカルビーは、試行錯誤を重ねるものの、うまくいかなかった。では、どんなアプローチをしたのか。
例えば、朝食と言えば卵料理が定番。そこから「フルグラと卵料理ということで、オムレツと混ぜてはどうか」となった。確かに触感も含めて美味しく、「斬新なオムレツ」としてアピールはしたが、大きなヒットには至らなかった。
次はパンケーキだ。フルグラをパンケーキのタネの代わりにする。パン粉に近いので、確かにタネとしてもなりたつし、食感も悪くない。フルグラ&パンケーキのレシピ本を出版、スーパーの店頭ではホットプレートまで持ち出して販促したが、「痛い感じ」はぬぐえず、やはりヒットにまでは至らなかった。
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