韓国・李明博政権の「資源外交」 「血税の浪費」と集中砲火
また、「開発の成功率は3割程度というのが資源開発事業の常識。MOUの件数から成功率を計算すること自体、意味がない」と指摘する。別の関係者は「MOUを結ぶことは友好関係のなかった国との交流の始まりを示す」と説明、MOUだけでも多大な効果があると打ち明ける。
李政権は資源外交を実態以上に宣伝
専門家の中にも、「失敗の烙印を押すには時期尚早」との見方がある。慶北大学のユ・インチャン教授は、「石油掘削は探査だけでも通常5年以上、最終的に資源が開発されるまではさらに5年ほどかかる。現状で失敗を口にするのは素人考えだ」と解説する。さらに国会議員が「4400億ウォン(約280億円)の浪費」と指摘したある油田開発計画についても、「指摘された計画はまだどこも石油開発を行っていない地域。そのため初期費用が多くかかる。計画が進展すれば、投資開発は回収可能だ」とユ教授は話す。
李大統領をはじめとする「VIP外交」の効果について、肯定的に見る意見もある。鉱物資源公社の関係者は、「小さな企業が海外に出ても、相手にすらされない。大統領や特使などが側面支援してくれれば、相手国からの信頼も増す」と言う。
だが、韓国石油公社と鉱物資源公社の実力レベルは世界的に低いのが実態。石油公社は世界の石油・ガス企業100社のうち77位、鉱物資源公社は97番目だ。「交渉のテーブルを持つことさえ簡単ではない。交渉が進んでも、契約で不利な条件を強いられることもある」と、資源企業の関係者は苦労話を語る。
さらに、資源獲得を死活問題として取り組む中国の存在もアゲンストに働く。韓国は09年に中国との資源開発入札で負けた経験がある。中国のほかにメジャーな資源開発企業も多く、彼らが手を出さないニッチ市場を狙わなければならないが、そうなると成功率が低く、初期投資も非常に高くつく。