セブンがガチ買収提案される「日本のヤバい現実」 次に狙われる「お買い得」な大企業はどこか?
そのような戦略を前提に考えると、日清食品という企業はグローバルな食品大手にとっては買収候補に映るでしょう。中でもクラフト・ハインツにとってはカップ麺という商品は自社の成長戦略の延長戦上にある魅力的な商品群に見えることでしょう。
「そんな買収が起きたら、日清のカップ麺はマカロニにケチャップがかかったものに変わってしまうんじゃないのか?」
と心配する読者もいらっしゃるかもしれません。実はそんな心配がこれから先の日本に降りかかるかもしれません。なにしろアメリカのカップヌードルはアメリカ人のテイストに合わせて、日本人にはあまりおいしいと感じられない味付けになっています。
さらに言えばグローバル食品業界では、買収後数年でまた経営陣が交代すると、戦略がころころと変わります。たとえば日清食品を買収した企業は、数年後にはグローバルに成長できるカップ麺だけを残して、袋麺は売却するかもしれません。そうなれば伝統あるチキンラーメンはどうなってしまうでしょう。これからは日本人はそんな心配をしなければならなくなるかもしれないのです。
日本企業にとって対岸の火事ではない
もう一度、話をまとめてみましょう。今回、セブン&アイに降りかかった買収提案は、実は多くの日本企業にとっては対岸の火事ではないのです。
問題は円安と株価低迷で、日本企業がそもそも「お買い得価格」になってしまっていることと、グローバル企業から見れば日本とアジアで成長する日本企業というものがポートフォリオとして非常に魅力的になっているということがあります。
その前提で、日本企業は資本主義経済の流行に沿って、社外取締役中心の役員会へと構造を変えてしまいました。これから先、第2第3の「セブン事件」は間違いなく勃発することでしょう。
本当は円安を止めることと、日本企業の株価をもっと上げることが重要なのですが、それができていないから今この問題が起きています。
では今できることは何でしょう?
「次の株主総会で、取締役はすべて社長の友人に入れ替えよう」
本気でそんな防衛策を企業が考えるべき局面に来ているのかもしれません。
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