「キス動画」のリスクは、いつまでも消えない 学生の頃から「私的領域」を知る必要がある

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「必ずしも法的リスクというわけではないですが、ネットに公開するということ自体に伴うリスクがあります。

ネットに上げてしまったものは、コピーが容易で、拡散していってしまうというリスクがあります。公開した当時はよいかもしれませんが、その後別れてしまったときに削除したいと思っても、削除しきれるかどうかは分かりません」。

意に沿わない形で利用されるかも

「また、動画が勝手に保存されて、自分の意に沿わない形で利用されたり、加工されてしまうかもしれません。

たとえば、何かの機会に自分がネット上で炎上してしまった場合、動画を貼り付けられたり、動画をキャプチャーした画像を掲載されるという可能性もあります。プロフィール情報から個人が特定されてしまえば、誰が炎上したのかが分かる形でさらされ続けるリスクがあります。

さらに、就職活動の際に、採用担当者が応募者のSNSをチェックすることも増えてきているようですが、私的な動画等を全世界にさらすようなことをしている人は、採用しても同じようなことを無邪気にしそうだということで、採用を敬遠されるおそれもあります。

このリスクは、動画等のコピーが容易という問題がある以上、元を削除したからといって排除し切れないリスクです。私的なものは私的なものとして扱うべきということを、学生のうちからきちんと知る必要があるでしょうね」

清水弁護士はこのように話していた。

清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitterに対する開示請求、Facebookに対する開示請求について、ともに日本第1号事案を担当。2015年6月10日「サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル(弘文堂)」を出版。
事務所名:法律事務所アルシエン

 

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