体操・宮田笙子の「喫煙辞退」で得をしたのは誰か 意外と関係深い、アスリートと喫煙の歴史【後編】

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ただ、『フォーカススクープの裏側』(新潮社)によれば、この写真を掲載したことで雑誌の売り上げは一気に跳ね上がったという。つまり、「未成年喫煙」はニュースバリューとカネになることが判明したのだ。

1985年には『夕やけニャンニャン』(フジテレビ系)の未成年メンバー6人が喫茶店で喫煙している様子を『週刊文春』(文藝春秋)にスッパ抜かれ、ひとりを除いてメンバーは降板。

1991年には茨城県土浦市と土浦市観光協会が主催した「第4回ミスつちうらコンテスト」で、審査員審査では最高得点だった女性が、会場のロビーで喫煙していたことを問題視され、ミス土浦を逃したことが新聞、テレビ、雑誌で騒がれた。

ただ、これは彼女の未成年喫煙が問題視されたわけではなく、「タバコを吸う女性はミスにふさわしくない」という理由でハシゴを外されたことが波紋を呼んだのだ(後にこの女性は美樹あゆみとしてセクシー女優デビューを果たす)。

そして、2006年には元・モーニング娘。の加護亜依の未成年喫煙が『FRIDAY』に掲載される。正直、写真の画質はかなりガビガビだったため、言い逃れできそうでもあったが、本人が誠実に事務所に事実と述べたため、謹慎処分となる。反省しているかと思いきや、その翌年には『週刊現代』(講談社)に再び未成年喫煙と18歳年上の男性と温泉旅行に行った写真付きの記事が掲載される。ついに、事務所は彼女との契約を解除して懲戒解雇となった。

ちなみに、1999年にはジャニーズJr.の未成年メンバー4人の未成年喫煙写真が『FRIDAY』に掲載され、4人は解雇の憂き目に遭ったものの、正直Jr.ということもあってか、誰も覚えていない。

スキャンダルの対象にされる日本の女性アスリート

やはり、未成年女子の喫煙スキャンダルのほうが「見映え」よく、ニュースバリューはあるのだ。その背景にはミスつちうらの一件のように「清廉潔白な女性はタバコを吸ってはいけない」という、社会通念がいまだに強く根ざしていると考えられる。だからこそ、スポーツ精神にのっとった、容姿端麗で、国を代表している宮田選手は辞退に追い込まれたといえるだろう。

【2024年9月5日11時35分追記】初出時、内容に一部不正確な記載がありましたので、修正致しました。

そもそも、安藤美姫、千葉すず、有森裕子など、かねて日本の女性アスリートはつねにスキャンダルの対象となってきた。それは「ニャンニャン事件」以降、世間は若い女性芸能人に向けるような「清廉潔白さ」を選手たちにも求めるようになったからだ。

「未成年喫煙者」という烙印を押された宮田選手が、今後そのプレッシャーを跳ね除けて復活を遂げる……。そんな未来が訪れるかは、今後の彼女の奮闘次第だろう。だが、世間から忘れ去られるまで、スキャンダルを狙われ続けるだろうし、仮に体操の世界で結果を残しても、過去の喫煙騒動は何度も思い出されるはずだ。

前編はこちら:喫煙で辞退「宮田笙子」なぜあれほど批判されたか 意外と関係深い、アスリートと喫煙の歴史【前編】

宮田笙子
宮田選手が在籍する順天堂大学も、声明文を掲載することとなった(画像:順天堂大学公式サイトより)
宮田選手のインスタグラム
20日までに、宮田選手は自身のインスタグラムの投稿をすべて削除している(画像:本人のインスタグラムより)
千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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