体操・宮田笙子の「喫煙辞退」で得をしたのは誰か 意外と関係深い、アスリートと喫煙の歴史【後編】

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ところで、「スポーツ栄養Web」という一般社団法人日本スポーツ栄養協会のサイトに掲載された「アスリート5人に1人以上がニコチン陽性反応、男性・パワー系・団体競技で高い傾向 イタリアの調査」という記事によると、イタリアでドーピング検査の一環で6万人のアスリートの尿検体を分析したところ、「解析対象全体のニコチン陽性率は22.7%であり、アスリートの5人に1人強が喫煙または喫煙以外の方法でニコチンを習慣的に摂取していることがわかった」という。ちなみに、これは2024年の記事である。

アスリートとタバコは無縁かと思いきや、実際はそんなことない。日本の場合はやはり「国技」である相撲と野球の世界はタバコと切っても切り離せない。

例えば朝潮太郎(4代)は名門・高砂部屋に入門したてのときからパカスカ、タバコを吸っていたため親方から控えるように言われたものの、「やめるなら死んだほうがマシ」と言い放ったという。

そして、野球界は1993年に巨人の桑田真澄がロッカールームでの嫌煙権を勝ち取るまで、移動のバスもロッカールームもプレスルームもタバコの煙が充満していたそうだ。しかも、助っ人外国人選手のウォーレン・クロマティがドン引きするほど、試合前にみんな喫煙していたという(『さらばサムライ野球』/講談社/1991年)。

さらに、野球界では「未成年喫煙」も過去に取り沙汰されており、現在大リーグで活躍しているダルビッシュ有は2005年、甲子園終了直後に校内での喫煙写真を目線入りで『FRIDAY』(講談社)が掲載。そして、日本ハムに入団して初めての春季キャンプでは『FLASH』(光文社)にパチンコ店で喫煙している様子を撮られている。

さらに、格闘家に転身した元西武の誠(現・相内誠)は2013年に仮契約の直後、アクアラインで無免許運転で暴走した揚げ句に保護観察処分を受けるが、翌年には未成年にもかかわらず飲食店での未成年喫煙と飲酒で大目玉を喰らった。

また、横浜などに在籍した北方悠誠という選手は、2014年に未成年喫煙が発覚して、プレイしていたフェニックスリーグから横浜に強制送還されている。

このような野球選手たちの事例を見ていると、確かに宮田選手に対する「酒とタバコくらい許してやれよ」という気持ちもわからなくない。なぜ、彼らは許されて、彼女は辞退させられたのか?

未成年喫煙が「カネになる」とわかってから…

それは、彼女が「かわいらしい女子体操選手」だからだろう。いつの時代も未成年女子の喫煙はスキャンダルの的となるのだ。

その発端は1983年の「ニャンニャン事件」だろう。当時、萩本欽一のバラエティ番組『欽ちゃんのどこまでやるの!』(テレビ朝日系)に出演し、女の子ユニット“わらべ”の一員として人気を博していた高部知子の、ベッドで裸でタバコをくわえている写真が、写真週刊誌「FOCUS」(新潮社)に掲載されてしまう。ちなみに、「ニャンニャン」とは記事中でセックスを指した隠語であり、わらべがリリースしたシングル「めだかの兄妹」の歌詞から取られている。

当時、清純派アイドルとして、テレビや雑誌に引っ張りだこだった高部はこれを機に、わらべを除名となり、番組も降板。高校も無期停学処分を受ける。しかも、この写真を流出させた男性は自殺を遂げている。誰も幸せにならない。

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