復興に動き出した石巻漁港、難問抱えつつも第3次補正予算で薄明かり


 それだけに、本格復興を目的とした第3次補正予算への期待は大きく、多くの企業が頼みの綱にしてきた。そして10月28日に国会に提出された水産庁の第3次補正予算では、漁港内の民有地のカサ上げや排水対策についても補助金(予算額50億円、補助率2分の1)が盛り込まれた。
 
 前出の須能社長は「私たちがずっと要請してきたことがようやく実現にこぎ着けた」と語る。そのうえで「年末には予算の内示が出て、年明け早々には工事の槌音が聞こえることを期待したい」と続ける。もっとも、被災地では建設業の需要が多く、すぐに着工できるかどうかは不透明だ。

第3次補正予算では被災した施設の再建についても、共同利用を前提に初めて補助金が付いた(補助率は3分の2以内、予算額378億円)。ただ、水産庁は「十分な予算措置をした」とする一方で、「申し込みが多い場合には補助率が薄くなるのではないか」(石巻市内の水産加工企業)と懸念する声もある。
 
 多くの企業は震災前から債務を抱えているため、操業再開時には新たに銀行に融資を申請する必要も出てくる。

11月から操業を再開するある水産加工会社の社長は、「全壊した冷蔵設備の再建には10億円規模の資金が必要。自己資金での対応は到底無理だ」と打ち明ける。当面は、系列企業による冷蔵設備の再建に望みを託す。

人材確保も大きな課題だ。千田商店では震災前に45人の従業員が働いていたが、休業期間中に遠隔地の仮設住宅に引っ越したこともあり、現在は30人にとどまる。「あと20人必要。ハローワークや新聞広告で募集をかけているが、必要とする熟練社員がなかなか集まらない」と佐々木取締役は懸念する。「送迎バスでの送り迎えも考えないといけないかもしれない」(佐々木氏)。

さまざまな悩みを抱えつつも、再建に向けて少しずつ動き出した石巻漁港。須能・石巻魚市場社長は「外国人を含めて一般の方々も多く訪れる国際水産都市を目指したい」と意気込む。その道のりは平坦ではないが、地道な努力が続いている。


■復旧工事が進む石巻漁港(石巻魚市場)


■倒壊したままの鯨大和煮の巨大缶詰

(岡田 広行 =東洋経済オンライン)

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