中国の元切り下げは、マイナス材料ではない 今中国がマーケットで行っていることは何か
一方、中国景気への懸念を背景に資源価格が下落し、これが株式市場の悪材料になっている。原油価格の下落も、中国の需要減退懸念が背景にあるとの説明を聞く。
中国の原油買い、ドル高基調終了で相場は反転へ
しかし、実際には中国の石油会社はアジア市場で、最近の下落で割安になっている原油を戦略備蓄用に買い上げているという。輸入量が思いのほか減少していないのは、実需向け以外の原油購入が増えていることが背景にあるのかもしれない。これとよく似た状況が起きていたのが、2009年の第1四半期である。
リーマンショック後の急落した原油を安値で買い付けていたのは、ほかならぬ中国だった。中国は同時、原油や同などの非鉄金属、天然ゴムや大豆などを戦略備蓄用に安値で買い上げていた。明確な兆候は確認できないが、今回も同じような行動を取っているとすれば、現在の水準が底値だったということになろう。
これはひいては、資源価格の反発につながり、将来的な株価浮揚にもつながろう。これに9月の米利上げがドルのピークアウトを誘発し、6年ごとに重要な節目を迎えるドル建てコモディティ価格も底値を確認、反発に向かうだろう(6年前はコモディティが底打ちした2009年である)。これらの動きにより、売られていた資源株に買いが戻り、株式市場全体が本格的な上昇に向かうことになろう。
一方、7月の米雇用統計は堅調な内容で、9月利上げは確定的なものになったと筆者は考えている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は繰り返し、「年内利上げ」を言明している。また「早期に利上げしたあとは、ゆっくりとしたペースでの利上げになる」ともしている。これにより、ドル高基調が終了し、米国の多国籍企業の業績は改善に向かうだろう。
もともと、米大統領選挙の前年は米国株のパフォーマンスは安定する傾向がある。年初からの騰落率が伸び悩んだところは買い場であり、現在はそのタイミングにある。底値確認後は日本株にも積極的な買いが戻ってくるだろう。
今後1週間の日経平均は、1万9950円~2万0550円の値動きを予想する。中国人民元の切り下げや原油安を織り込むまで、日本株も欧米株と同様に調整場面が続く可能性がある。ただし、これらの材料を織り込むまでの辛抱である。世界的にも株価には売られすぎ感が強まっている。来週以降の反発を想定しておきたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら