どちらかというとゴルフはメジャースポーツではない国で、相当数のギャラリーはゴルフを見たいと思って見に行ったわけではなく、初めてゴルフを見る人もいただろう。
観戦マナーなどはわかっておらず良くなかったらしいが、東京五輪が無観客だっただけに日本の選手を含めて多くの選手が「応援を楽しめた」と話している。
フランス選手にメダルこそなかったが、優勝争いに絡み、ギャラリーのフランス国歌の合唱などもあったというから、会場は相当の盛り上がりだったのだろう。
日本でのテレビ観戦では、通常の日本のトーナメント(土日)の視聴率(世帯視聴率)は、男子2~3%、女子3~4%台なのに対して、パリ五輪ではビデオリサーチ社が発表している男子最終ラウンド(速報値、世帯視聴率)が12.1%(21時~)、9.6%(22時45分~)と高い数字になっている。
金メダル争いをしているということで、ゴルフを初めて見た人がいるかもしれない。
こうした現地、映像などで子供を含めてゴルフをしない人、知らない人に見てもらえる機会が五輪でもあり、選手たちのプレーぶりがひいては五輪でのゴルフ競技の存続にかかわってくるといっても大げさではない。
特別なモチベーションと目標に
それには何より、選手の気持ちが大切だ。「五輪ってどうなんだろう」というモヤモヤした気分で出てもいい結果は出ない。
松山が表彰台で他のメダリストと自撮りするのもトーナメントでは見られない光景だ。
表彰式後のインタビューでは「隣に金メダルかけている人がいるので、うれしい反面、悔しいような気持ちでいます。自分の中で、これ(銅メダル)を持っていることによってすごく変わる部分もあると思うんで、よかったなと思います」とし、「まだまだ次のオリンピックも頑張りたいという気持ちです」と語っていた。
8年前のリオデジャネイロ五輪で、ジカ熱への感染不安を理由に出場辞退した松山が、すっかりオリンピアンになっているように見えた。銅メダルはできれば日本でトーナメント出場やイベントがある際は持ち歩いて、特に子どもたちには見せたり、触れさせたりしてほしい。
山下はロサンゼルス五輪への思いを聞かれ「やっぱりその(出場する)気持ちも強くなりましたし、でもまだ試合も続くんで、メジャーもあるんで、そこでしっかり結果出せるようにしていけたらなと」と話している。五輪が目標になったようだ。

「五輪の悔しさは五輪でしか晴らせない」と、さまざまな競技の選手が口にする。悔しい思いをする選手のほうが圧倒的に多いのが五輪でもある。4年に1回の希少な機会でしか得られないメダルを含めた価値にゴルフの選手たちも気づけば、試合が面白くなり、五輪競技として存続する可能性が高まるだろう。
ジュニア世代の目標に五輪の金メダルが加わってくれば、ゴルフにも「ゴールデンスラム」のような称号が生まれるかもしれない。
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