松山英樹「銅メダル」に沸く五輪ゴルフの未来図 テニスのように「ゴールデンスラム」となるか

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一方、女子の山下は、メダルに手をかけた直後に2つのダブルボギーで逸した。

2打差3位で迎えた最終ラウンド、途中落としたが8番バーディーでトップと2打差になった直後、バーディーを狙える9番パー5でグリーン左のラフからの第3打をグリーンの反対側まで打ち、第4打も寄らずダブルボギー。

その後盛り返して、15番のバーディーで2位タイグループに加わったが、直後の16番パー3で池に入れてダブルボギー。最終18番で入れれば銅メダルの可能性がある3位タイというイーグルチャンスを作ったがパットが外れた。

インタビューでは「すごい緊張感があって楽しくラウンドできた」と悔しさを押し殺していたが、その後小林浩美・日本女子プロゴルフ協会会長に抱擁され、涙を流した。

プロ選手にとっての五輪の価値とは

ゴルフが112年ぶりに五輪競技に復活したのは、2016年リオデジャネイロ五輪。当時、五輪にゴルフという価値観がゴルフ界では理解しにくかった。実際、「五輪はアマチュアの祭典。プロが出るの?」と話したプロゴルファーもいた。

特に男子のトッププロは、4大メジャー大会(マスターズ、全米オープン、全米プロ、全英オープン)を全制覇する「グランドスラム」をゴルフを志したときからの目標とするケースが多い。

そのため突然賞金の出ない五輪といわれても価値を見出しにくく、さまざまな理由で欠場する選手が続出した。一方、女子のトップ選手は、ほぼ全員が五輪に出場した。

そのときにこのコラムでも触れたが、プロの出場を解禁した五輪競技の中には、ゴルフと同様のことがすでに起きていた。1988年ソウル五輪でプロ解禁になったテニスは、ゴルフ同様に4大メジャー(全豪、全米、全仏、全英各オープン)との比較価値観で出場に後ろ向きな男子が多かった。

一方、女子ではソウル五輪に、当時の第一人者シュテフィ・グラフが出場して金メダルを獲得。グラフはこの年、年間グランドスラムも達成している。

この偉業が呼び水となって、その後テニス界では4大メジャーを制するグランドスラムに、五輪の金メダルを加えた「ゴールデンスラム」という呼び方が定着していった。

パリ五輪では男子のジョコビッチが5度目の挑戦で金メダルを取って、男女合わせて史上5人目のゴールデンスラムを達成。報道によると、涙を見せて「これ以上幸せなことはない」と話した。五輪の価値が浸透している。

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