南海「聖地の玄関口」高野山駅、知られざる裏側 バスが発着する駅前ロータリーの地下には…
高野山の駅舎はレトロな雰囲気の建築。駅前は南海りんかんバスのターミナルとなっており、高野山のシンボルともいえる根本大塔などがある壇上伽藍や、弘法大師空海の入定の地とされる奥の院方面のバスが発着する。
山中に開けたこの駅前のロータリー、利用者は気づきようがないが、地下に意外なほど広い空間がある。これはケーブルカーの「巻上室」。2系統の原動機、減速機が置かれ、運転中は主索輪と従索輪、案内索輪という巨大な滑車が回転してロープを動かす。
ケーブルカーは2019年3月にデビューした4代目の車両。高野山開創1150年記念大法会を控えて1964年に登場した先代から実に54年ぶりに新造された。長さ1020mのロープでつながった2両編成の客車が上下する。最急勾配は高野山駅ホームの562.8パーミル(29.22度)。
壇上伽藍の根本大塔をイメージしたという朱色が目を引く車体は24.2度の傾斜がついている。最大乗車定員は211人(乗務員1人を含む)だが、乗客が多い場合などには臨時便を出して対応する。
レトロ建築の駅舎
高野山駅の所在地は「和歌山県伊都郡高野町高野山国有林」。極楽橋駅までの鉄道が開通した1年4カ月後、1930年6月29日に開業した。木造2階建て、鉄板ぶきの駅舎は2005年に国の登録有形文化財となった。
高野山開創1200年にあたる2015年にリニューアルを実施。丸窓や欄干のような装飾など昭和初期の開業当初の外観に近づけた。きっぷの販売窓口はオープンカウンター形式に改装。2階にはケーブルカーや駅の歴史に関連した展示コーナーと橋本方面の眺めが楽しめる展望室を設けた。開業当初は2階に食堂があり、現在の展望室はバルコニーだったという。
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