残りわずか「和製スマホメーカー」たちの生き様 レノボ傘下で再始動のFCNT、シャープの新たな一手は

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シャープのパーソナル通信事業部事業部長、中江優晃氏は、新機種を「本当の意味でのグローバルへの挑戦」と位置付けている。多くの日本メーカーが撤退する中、シャープは日本のスマホが世界で通用すると考え、海外進出への意欲を示している。

シャープのAQUOS R9は外部デザイナーの起用でデザインを刷新した(筆者撮影)

新デザインは「miyake design」とのコラボレーションで生まれた。シャープ 通信事業本部本部長の小林繁氏は、「グローバルでやるうえで、日本の良さを我々もわかっていない。そのため、デザイナーの三宅さんにご協力いただいている」と語る。三宅一成氏率いる「miyake design」は、現代的でありながら日本らしさを表現することに長けたデザイン事務所だ。

シャープはこれまで台湾とインドネシアでAQUOSの販売実績があり、2023年にはこの2ヵ国での出荷数量が前年比2倍になった。今回の新機種では、これらの国に加えてシンガポールでの販売も予定している。

シャープ製品の特徴である耐衝撃性や防水性能は、海外での販売パートナーからも評価が高い。小林氏は「海外で売られている端末は精緻に作られているが、割れやすかったりする。防水も、石けん水で洗えるようなものは聞いたことがないと驚かれる」と語る。

独自の強みを活かし、グローバル市場の要求に適応

一方で、海外市場のニーズを踏まえ、「AQUOS R9」では大音量・低音重視のスピーカー設計を行い、「AQUOS wish4」では大きいディスプレイを採用するなど、グローバル市場の要求に適応している。

海外市場のニーズを踏まえて強化した要素もある。「AQUOS R9」の大音量・低音重視のスピーカー設計を行った。「AQUOS wish4」の大きいディスプレイは、海外市場でのニーズを見込んで取り入れた要素だ。

AQUOS wish4は大画面の需要が高い東南アジアを意識し、6.6インチディスプレイに刷新した(筆者撮影)

耐衝撃性や防水性能へのこだわりが海外から高く評価されている一方で、オーディオ性能はグローバル市場のレベルへキャッチアップしているという点では、FCNTとシャープで共通している。日本のスマホメーカーが厳しい競争環境に置かれる中、FCNTとシャープは独自の強みを活かしつつ、グローバル市場の要求に適応することで生き残りを模索している。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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