「朝昼夜0円サービス」愛知の喫茶チェーンの正体 パンやスイーツが無料で付く「カフェヨシノ」
吉野さんが「カフェヨシノ」に入社したのは2014年。それまでは地元のテレビ局でディレクターとして情報番組を制作していた。マスコミに注目されるような人気店や食材の生産者もこれまで数多く取材していて、そこで培ったネットワークを新メニュー開発などで最大限に活用した。また、「カフェヨシノ」へ入ってからは7年間にわたって現場に身を置き、その視点から改善点を見いだしながらサービスやメニューを見直して、リブランディングに取り組んできた。
年末の上野・アメ横がリブランディングのヒント
その1つがビーフ100%の自家製パテを使った「ヨシノ・ザ・バーガー」である。名古屋市内の人気店を訪ねては食べ歩き、味を研究しながら試作と試食を繰り返した末にようやく完成させた吉野さんの自信作である。
「私自身、ドリンク代のみのモーニングやアフタヌーンのサービスに対して、どちらかといえば否定的だったんです。専門店にも負けないようなレベルの商品を作れば、おのずと売り上げも伸びるだろうと」(吉野さん)
ハンバーガーの販売が始まると、瞬く間に人気となったものの、予想に反してハンバーガーだけを注文する客が増えた。ドリンクを付けると1000円を超えてしまうため二の足を踏んでしまうのだ。グルメバーガーの専門店であれば、ハンバーガーだけで1000円以上するものもあるが、喫茶店ではハードルが高かったのである。
「カフェヨシノ」のリブランディングという課題を残したままコロナ禍へ。外出自粛により経営に大きな打撃を受けた。
「年末にぼんやりとテレビを見ていると、買い物客でにぎわう東京・上野のアメ横から中継をしていました。年末恒例の1コマですよね。店の人はただでさえお値打ちなものをどんどん安くしていくと、飛ぶように売れるんです。あらためて安さの力というものを見直しましたね」(吉野さん)
吉野さんは2023年10月に社長となり、翌11月に「カフェヨシノ」の旗艦店となる中島店をオープンさせ、リブランドへの第一歩を踏み出した。
中島店の特徴は、冒頭で触れた全時間帯の「0円サービス」。さらに「コメダ珈琲店」をはじめとする東海発祥喫茶チェーン初となるドライブスルーの併設である。しかも、店内価格より130円安い350円でコーヒーを販売し、店内での飲食と同様に全時間帯で0円サービスを実施している。
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