中国の充電器ブランド「アンカー」急成長の理由 新製品は12ミリ超薄型で、電源プラグが可倒式

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アンカーの成長はどこまで続くのか。

まず主力の充電カテゴリーの成長は、堅調が予測されるという。

アップルは環境対策の観点から、iPhoneに充電器を付属しなくなった。これと同時に、iPhoneの充電ポートが、iPadやMac、Androidスマートフォンなどと同じUSB-C規格に変更されたこととが重なり、新型iPhoneへの買い替えの際に、USB-C充電器を揃えるという需要が引き続き伸びていく。

Anker Store渋谷のワイヤレスヘッドフォンSoundcoreコーナー。「カラフルなラインナップが一堂に会して試せるのは、社員にとっても珍しい」と猿渡CEO(筆者撮影)

同時に、家の中での大容量充電・給電もUSB-C化が進んでおり、Anker Primeシリーズの新製品でも、外出時に使える充電器に加えて、家やオフィスのデスクで利用する100〜200Wクラスで複数台を同時に充電できる製品を拡充してきた。

「アンカー製品は外出先での充電やモバイルバッテリーに強みがあったのですが、USB-C化の進行に合わせて、家の中の充電環境をもっと整理したい、というニーズを発見しました。そこで、Anker Primeシリーズのデスクトップチャージャーを投入しています」(猿渡氏)

またブランドの浸透を追いかけるようにロボット掃除機やプロジェクターなど、比較的高額な商品を取り扱うようになっており、こちらもAmazon Prime Dayで完売するなど、好調だ。

注目はワイヤレスヘッドフォン

しかしそれ以上に注目は、ワイヤレスヘッドフォンのサブブランド「Soundcore」(サウンドコア)だ。

実は、アンカーのSoundcore P40iは、アップルのAirPods Pro(第2世代)に次ぐ、完全ワイヤレスヘッドフォンの日本市場で第2位のシェアを獲得するまでに成長した。オーディオ分野でソニーやボーズ、JVCケンウッドといった競合ブランドを上回るようになっているのだ(BCNランキング、2024年1〜6月)。

アンカーは参入する各カテゴリーを席巻し、トレンドを作り出しているように見える。しかし彼らの方法論を紐解くと、顧客のニーズに素早く応えるという、非常にシンプルなマーケットインを重視する戦略であることがわかる。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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