イスラエルvs.イラン「中東全面戦争」の現実味 「暗黙のルール」維持も徐々に高まる緊張

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イラン外務省報道官は5日、「イランは中東地域の安定を希求しているが、これは侵略者を罰し、シオニスト体制(イスラエル)の冒険主義への抑止力を構築することで実現する」と指摘し、紛争を拡大させる意図はないとのメッセージを発している。

最悪のシナリオは

徐々にイスラエルとイランやヒズボラなど中東の反イスラエル陣営との緊張は高まっている。イスラエルのメディアは、ヒズボラが最初に報復攻撃を開始し、イランが情勢推移を見ながら自らの報復内容やタイミングを判断するとイスラエル当局は見ていると伝えている。ヒズボラの報復は軍事的な標的を中心的に狙うが、民間人も危険にさらす可能性があると分析しているという。

ヒズボラの報復攻撃で民間人の大きな犠牲が出た場合、イスラエルは首都ベイルートや空港などを空爆、ヒズボラは戦闘員をイスラエル北部に越境させ、イスラエル軍がレバノン南部に地上部隊を侵攻させる本格的な戦争に発展する恐れがある。

その場合、フーシ派のほか、シリアやイラクの親イラン勢力も介入し、イスラエルと反イスラエル陣営の全面的な戦争になる事態も考えられる。

そうなれば、ガザ地区で見られるような惨劇がレバノンなどでも繰り返されることになり、イスラエル側でも民間人を含めた被害が拡大する可能性がある。イランやヒズボラの報復内容次第では、中東は全面戦争の瀬戸際に立つことになりそうだ。

池滝 和秀 ジャーナリスト、中東料理研究家

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いけたき かずひで / Kazuhide Iketaki

時事通信社入社。外信部、エルサレム特派員として第2次インティファーダ(パレスチナ民衆蜂起)やイラク戦争を取材、カイロ特派員として民衆蜂起「アラブの春」で混乱する中東各国を回ったほか、シリア内戦の現場にも入った。外信部デスクを経て退社後、エジプトにアラビア語留学。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院修士課程(中東政治専攻)修了。中東や欧州、アフリカなどに出張、旅行した際に各地で食べ歩く。現在は外国通信社日本語サイトの編集に従事している。

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