最強企業・アップルを生んだジョブズの功績
10月5日(米国時間)のスティーブ・ジョブズ死去発表を受け、世界中に彼の死を悼む声があふれた。米国、ヨーロッパ、日本、中国などの直営店には献花、キャンドル、メッセージカードなどが集まった。米大統領、ロシア大統領など、世界中の多くのVIPがジョブズの功績に対して最大級の賛辞を送り、56歳の早過ぎる死を悼んだ。
ジョブズは1997年に破綻寸前で資金繰りに窮していた古巣のアップルに復帰。そこから人々の日常生活を変える新製品を次々と世に送り出し、世界最大の株式時価総額を誇る企業へ成長させた。この功績は、輝かしいものだ。
が、ジョブズが名経営者としての評価を固めたのは、35年に及ぶ経営者としての人生のうち、最後の5~6年程度。今では過去についても神格化が進みつつあるが、評価は賛否両論、真二つに分かれる。
「負け」を認めて生存権を確保した
草創期のアップルを支えたのは共同創業者のスティーブ・ウォズニアックだった。ジョブズは、しばしばその功績を横取りしただけの小ずるい人間と見られてきた。
「ウィンドウズはマックのコピー。創造性のかけらもない」と言い続けるさまは、負け犬の遠ぼえのようだったし、今では最高と評される独特のプレゼンも、熱烈なマックファンに向けた特異な説教に見えたものだ。