大丸松坂屋が一等地の再開発で目指すもの 東京銀座と大阪心斎橋でビッグプロジェクト
──免税品の売り上げの伸びが著しい。
ビザの発給要件緩和や円安を背景として、中国人を中心に、日本を訪れる外国人客が急増している。これまでは春節休暇中などが盛況だったが、今はオールシーズンだ。2013年度に64億円だった免税品売り上げ(大丸と松坂屋の合計)は、2014年度に151億円まで伸びた。
2015年度の第1四半期(3~5月)の売り上げは90億円と予想を上回るペースで着地したため、通期の見込みを250億円から350億円に引き上げた。中でも、大丸心斎橋店の免税品売り上げは前年同期比5倍で、その売り上げ規模は全体の21.6%に達している。
中国の株価急落で懸念されているが、6月、7月も好調だ。ただ今後、時間差で影響が出てくるのかどうかを注視する必要はある。
──一方で、富裕層向けの高額品と免税品以外のボリュームゾーンの商品が苦戦している。
一般カード顧客の消費動向を見ると、単価は上昇、客数は横ばいだが、1人当たりの買い上げ点数が落ちている。昨年は消費増税など物価上昇に伴う実質所得の減少が響いた。今年に入って、ベースアップや賞与の増加といった動きが徐々に見られ、持ち直しに期待している。
変化に素早く対応しなければならない
──そのボリュームゾーンの中で婦人服が苦戦ぎみだ。
婦人服は、H&Mなどのファストファッションの台頭や、ネット通販、郊外ショッピングセンターなど競争が激化している。百貨店は、女性衣料の在り方を見つめ、変化に素早く対応していかなければならない。たとえば今は、ガウチョパンツ(ふくらはぎ丈のゆったりしたズボン)が流行している。これまでになかったアイテムなので、新しい着こなしを積極的に提案していく。
一方で紳士服が堅調なのは、個人的な仮説だが、共働き世帯が増加していることが背景にあるのではないか。かつては30代後半から40代向けの紳士服は売れ行きが鈍かった。住宅ローンや子供の教育費などにおカネがかかり、お父さんの服は後回しにされた。今は共働き世帯で収入が増加し、男性は自分の欲しいものが買いやすくなっている。街を歩く若い男性を見ても、良いスーツを身につけていておしゃれになっていると感じる。
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