原発を巡って別居、ついに離婚を迫られた! 夫からの申し出にどう応えるべきか

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福田様、2020年の東京オリンピックにかけられる費用の数字が、故郷の復興がままならない東日本大震災の被災者にはどのように映っているか、ときどき考えます。オリンピックが大成功に終わり、日本全体がさらに元気づき、被災者の皆様も、しばし勇気を得られる祭典になることを祈るばかりです。

そんな折も折に、自主避難者に補償されていた住宅手当が、打ち切られようとしているそうですね。もともと金銭問題以外にも自主避難者には、国が指定した避難指定区域の人たちにはない、特有の問題を内包していました。福田家のように、家族で放射能汚染に対する考え方が違うとか、職場や老父母の関係、または経済的事情などで、家族がバラバラになった家庭が少なくなかったことです。

子供を守りたい自主避難者の家庭が岐路に

震災直後から、母子で一時避難したものの、「戻れ、戻らない」で夫婦で揉めたり、中には夫に愛情がないから戻って来ないのだろうという話に飛んで暴力を振るわれたり、離婚に発展した家族も出始めたと耳にしました。それに地域内でも、「避難せず、みんな一緒に頑張ろうね」と話し合ったり、一時避難して帰って来た人の立場が、地域で微妙になったという話を聞いたりしますと、問題の本質はそこではないだろうと胸が痛みます。

純粋に、放射能から子どもを将来に渡って守ってやりたいと思う母親の想いが、皆で共有されない原因はどこにあるのでしょう。

母親が子供を守りたいという防衛本能は、人間のどのような本能的感情よりも強いものですし、いくら政府や周囲に安全だと言われても不安なものです。

子どもの被爆を少しでも減らしたいと思うのは、どの親にとっても共通の願いです。ところが3.11の場合、国や東電の発表は、信用できないものが多かったことが、後になるほど明るみになったので、これで安心という線引きができない人が依然としておられても、不思議ではありません。

線引きと言えば、行政が線を引いた向こう側が危険区域で、線一本のこちら側が安全と言われても、風向きも心配ですし、それだけで納得できない人がおられるのも理解できます。毎日食べるコメは全袋検査が行われるから安全と言われても、また、セシウムを吸収しやすい食べ物でも、よほど毎日大量に食べない限り安全といわれても、それすら心配せずにすむ地域で子どもを育てたいと考える母心は、責められるものではありません。

実は私は40年前に、母親を子宮ガンで亡くしました。今ほど緩和ケアが発達していなかった時代でしたので、母は1年間、壮絶な痛みに苦しんで果てました。痛みが始まると、母の表現では「ナイフが体中を走る痛み」に襲われるのだそうで、その苦しむ姿を私たちに見せたくない母は、私たちが見舞うことすら拒絶したのでした。

骸骨のように痩せて歪んだ顔になった母を見ていますので、私はガンに対する恐怖が人一倍強いです。それでガンになりやすい食品などと聞くと人一倍敏感で、子どもたちからそれらを遠ざけるのに必死でした。ガンにかかる原因がひとつでない以上、それだけで万全ではありませんが、母親の注意で避けられるものは、絶対避けてやるという気構えで育てました。

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