シャープが液晶で「提携宣言」、どこと組む? 再建シナリオは出足の第1四半期から暗雲
「今の形を維持するよりもアライアンスを含め、広い可能性を考えなければいけない。5月時点で考えていたやり方ではしんどい。広い範囲でいろんな対応を考えていきたい」
7月31日に開催された、シャープの2016年3月期第1四半期決算会見。高橋興三社長の言葉で目立ったのは、柱の液晶パネル事業をめぐる他社との提携の可能性についての言及だった。
「これまで社長は他社との提携については明言していなかった。意外だった」と、シャープ社員も驚くように、高橋社長は柱の液晶事業についてあくまで自社単独で手掛けていくと社内外で強調。5月に新中期計画を発表した際も、「100%うちが資本を持てなければ、他社とのアライアンスはない」(高橋社長)とまで言い切っていた。
しかし、第1四半期決算で明らかになったのは、その「単独路線」の継続が許されないほど、液晶事業をめぐる環境が悪化していたことだった。
改善したのは電子デバイス分野のみ
第1四半期決算は、売上高は6183億円(前年同期比0.2%減)とほぼ横ばいながら、営業損益は287億円の赤字(前年同期は46億円の黒字)に転落。通期計画の営業利益800億円に向け、不安が募る出足となった。
特に問題なのは収益の中身だ。部門別の営業損益を見ると、前年同期比で大きく改善しているのは、カメラモジュールを中心とする電子デバイスのみ。カメラモジュールはアイフォーンなどスマホ向けの需要が好調で、前年同期の35億円の営業赤字から、28億円の黒字へ浮上した。
しかし、他部門は軒並み採算が悪化。テレビが柱のデジタル情報家電は、173億円の営業赤字(前年同期は53億円の赤字)。太陽電池部門も39億円の赤字(前年同期は1億円の黒字)に転落。そして冒頭の液晶は、137億円の赤字(同21億円の黒字)に陥った。
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