そもそも、こうした問題は洗濯で汚れを落とせていないことが原因です。キチンと汚れが落とせれば、部屋干しでも不快なニオイは発生しませんし、黄ばんだり黒ずんだりすることもありません。
でも、なぜこんなにも洗濯してもきれいにならず、不快なニオイで困る人が多いのでしょうか?
「節水ブーム」が起こした弊害
実はこの問題について、洗濯講座などを一緒にやっているクリーニング屋の仲間と調べたことがあります。そこで、「1990年代に家庭の洗濯機が節水仕様に変わった」という事実にたどり着きました。
洗剤が溶けずに残る、服の一部が洗えていない……。そんな話が90年代から徐々に出ていました。洗濯機が過剰に節水をし始めた影響で、汚れが落ちなくなって、ニオイの問題などが出るようになってしまったのです。
その後も、洗濯機が最新型になるたびにどんどん節水が進み、その結果、「洗濯機が自動で設定する標準の水量は、きれいに洗えないくらいまで少なく」なっています。洗濯の基本、洗う衣類の量と水の量のバランスが崩れてしまっているのです。
洗濯時の水量は、衣類の量(重さ)に対して10〜20倍が基本です。つまり、 1kgの洗濯物を洗うとしたら、10〜20Lの水量が必要になるということです。この衣類の量と水の量の比率を「浴比(よくひ)」といいますが、この浴比が1:10を下回ると、洗濯物の汚れはきれいに取れません。
では、今の洗濯機はどうかというと、これが1:8ぐらいになっているものが多いのです。
それを高濃度の洗剤液を作ったり、吸着剤などを洗剤に配合したりすることで、落とした汚れが衣類に戻る「逆汚染」が起こらないようにしたり、洗濯機のポンプで水を循環させることで洗いムラを防ごうとしたりしているのだと、僕は思うのですが……。それでも水が少なすぎるので、対処できていません。
さらにもう1つ原因があります。今の洗剤は、すすぎ1回対応をうたう洗剤が増えているということです。
しかし、1回だけのすすぎだと、汚れをきちんとすすぎ切ることができません。実は2回でも十分ではなく、3回するとほぼすすぎ切ることができます。ですので、すすぎの回数は3回というのが、洗濯の基本です。
ところが、ほとんどの人が「1回のすすぎでいい」と思っています。その結果、すすぎ不足で汚れを流し切ることができず、残った汚れが嫌なニオイや黄ばみ、黒ずみの原因となっているのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら