そっくり商品も出現「ユニクロ」中国で不振の異変 国内に次いで大きな市場、この1年で何起きた?

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潘氏は「集客できていない店舗が150ほどある」と述べ、ユニクロ中国事業の不振の理由として店舗間の集客力の差も挙げた。これも景気が関係している。

コロナ禍が収束し街に人が戻った2023年以降、ショッピングモール不況も顕在化している。2010年代後半に大型商業施設が次々に建設され、1つの駅に複数の施設がひしめき合っていることも珍しくない。過当競争で集客力の格差が広がり、平日の昼間はがらがらのモールも増えている。

負け組の商業施設に入居しているユニクロ店舗の売り上げは当然芳しくない。7月下旬の平日午後、大連市内の商業施設に入っているユニクロを訪れた日本人客は「10分滞在していたが、ほかの客は2、3人しかいなかった」と話した。

柳井会長兼社長は昨年10月、グレーターチャイナの今後の戦略として、より収益性の高い立地を厳選し年間80店舗ペースで新規出店すると同時に、収益性や集客力が低い店舗を中心に年間50店舗をスクラップアンドビルドしていくと説明した。潘氏も成長が見込める都市に旗艦店を出店しつつ、不採算店の閉鎖を進める方針を示した。

距離感に戸惑う消費者も

ポルシェやグッチなど欧州の高級ブランドはドル箱だった中国市場が大不振に陥り、責任者の交代や株価低迷を招いている。

中国経済が好調で消費意欲が旺盛だった時期はブランドの力で成長を続けられたが、景気が変調し消費者が選別を強めたことで買い控えが起きたり、「平替」されるのは(ポルシェは中国メーカーの高級EVにシェアを奪われている)、ユニクロも含めて共通している。

ファーストリテイリングは2025年8月期に中国市場を再び成長させるため、地域や店舗ごとのニーズにきめ細かく対応する「個店経営」を強化していくという。

ただ、SNSでは早速「ユニクロは店員に絡まれずゆっくり見て回れるところがよかったのに、最近はすれ違うたびに挨拶されて居心地が悪い」など、距離感の変化に戸惑う声も出ている。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

福岡市出身、早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で教員。現在は経済分野を中心に執筆編集、海外企業の日本進出における情報発信の助言を手掛ける。近著に『崖っぷち母子 仕事と子育てに詰んで中国へ飛ぶ』(大和書房)『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
X: https://twitter.com/sanadi37
公式サイト: https://uragami-sanae.jimdosite.com/

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