そっくり商品も出現「ユニクロ」中国で不振の異変 国内に次いで大きな市場、この1年で何起きた?

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中国のアパレル工場は、越境ECのSHEINのようなファストファッションにトレンドを反映した新商品を猛スピードで供給している。そこで経験を蓄積し、品質やデザインを向上させ、自らECを通じて消費者に直接商品を販売するD2Cブランドが台頭している。

ユニクロは1998年に1900円のフリースが大ヒットしたことで全国区のブランドに成長し、アパレル業界に価格破壊を起こしてデフレ時代を勝ち抜いた。

機能的でコストパフォーマンスに優れるというブランドイメージは日本市場で完全に定着しており、学校の制服にも採用されるようになった。この1、2年で主力製品を値上げしたが価格競争力は揺るがない。

中国の消費者がユニクロに抱くイメージは、日本とは異なる。ユニクロは2002年に同市場に進出したが、知名度が高まり店舗数が急激に増えたのは中国法人が設立された2012年ごろからで、消費力が急速に向上する中国人消費者に対し、コスパの高さや機能性ではなく「日本のおしゃれなアパレルブランド」を打ち出した。

為替レートによって日本円換算額は変動するものの、同じ商品なら日本で購入したほうが安く、2010年代に中国に住んでいた筆者は、日本に一時帰国した際にセールで値下げされたウルトラライトダウンジャケットを購入し、お土産に配ってとても喜ばれた。

ユニクロが2019年にニューヨークの著名アーティスト「KAWS(カウズ)」とコラボしたTシャツを中国で発売した際には、転売目的で入手しようとした客が店舗に詰めかけ、大混乱を引き起こした。日本で発売されたときも都内の店舗は中国人だらけだった。

圧倒的に安いとも思われていない

カウズの例からもわかるように、ユニクロは中国で「定番」というよりも「おしゃれ」「ホワイトカラーの若者向け」「トレンド」というイメージを持たれている。

潘氏は「現在、中国大陸は不景気で、価格の安さを重視するお客様は特に若い方を中心に多くなっています。ただし、ユニクロの価格を高いと思っているお客様はそれほどいないと思います」と説明したが、「高い」とは思われていなくても、圧倒的に安いとも思われていない。

だから中国の消費が低迷し節約志向が高まったとき、「以前より値引きが少ない」と感じて不満を抱いた消費者もいたようで、ユニクロ風味の「平替」に顧客を奪われた。

日本の不況を追い風に既存アパレル企業から顧客を奪ったユニクロは、中国では逆の立場になったと言える。

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