アルゴリズムを使った「性格判断」は可能か 人間の主観より正しく見極められる?
性格を評価分析するアルゴリズムはほかにもいろいろある。クラウベースの人事管理ソフトウエアを手掛けるワークデイ社は、同じ地位にいる期間や過去の業績など45の要素から従業員を分析するソフトを開発。その従業員が会社を辞める可能性が高いかどうかを予測し、担当業務の変更や転属といった適切な「引き留め策」を提案してくれるという。
またこのソフトには、優秀な人材の流出を防いできたかどうかに基づいて管理職を「やり手」と「ターミネーター」の2つに分類する機能もある。
ワークデイでは自社の営業担当者もソフトで分析、好成績をもたらした要素を割り出している。もっとも重要な指標は粘り強さだという。
「採用や昇進に関してはバイアスと無縁な人はいない」と、ワークデイの技術戦略責任者、ダン・ベックは言う。「データを使ってそれを乗りこえられるならすごいことだ」
こうした成功の源を研究している以上、それがわかれば取り入れてみるべきだと彼は言う。「うまく行くパターンがあるのがわかったら、採用しない手はない」
ある意味、これは成功の秘訣を求めて偉人伝を読むのと大差ない。ただ、多くの人を観察した結果を基に、ずっと大規模にやっているだけだ。
判事とデータ分析を比較する実験
データに基づく「性格判断」のほうが合理的だと考える理由はいくつもある。
スタンフォード大学のジュリー・レスコビッチ教授(コンピュータ科学)は、保釈審問における判事の予測と、データ分析による予測を比較するという研究を行った。
判事は短い時間で被告について評価を下し、保釈した場合に社会に与える脅威の度合いを判断する。暫定的な分析によれば、データを元にした分析のほうが犯罪発生に関して30%も正確な予測ができたという。
「アルゴリズムは主観的ではない」と彼は言う。「バイアスは人間のものだ」
もっともこれがすべてに当てはまるわけではない。アルゴリズムは天から降ってきたものではなく人間が書いたものだ。データにバイアスがかかっていなかったとしても、設計にバイアスがかかることはありうる。
アップスタートのグーは、SATの点数は非常によかったがエール大学を中退している。同社のアルゴリズムでは当初、こうした人は審査に通らなかった。そこでグーはアルゴリズムの設計を変えた。自分たちの仕事に大きな責任があることは承知の上だとグーは言う。
「新たな審査基準を見つけるたび、私たちは自問する。『審査を通らない理由がこれだと、相手の目を見て言えるかどうか』と」
(執筆:Quentin Hardy記者、翻訳:村井裕美)
©2015 New York Times News Service
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