アルゴリズムを使った「性格判断」は可能か 人間の主観より正しく見極められる?
「それを性格(キャラクター)と呼ぶ人もいるだろうが、弊社ではそうした表現は使っていない」とグーは言う。
高学歴でも成績優秀でもない人々に対しても、同様のアプローチは行われている。
ゼスト・ファイナンスは、信用力が低い人々(サブプライム層)への貸付を行う金融業者。グーグルの元重役であるダグラス・メリル創業者兼最高経営責任者(CEO)のもと、同社では一風変わった基準を元に審査を行っている。
「信用力が変わった理由に目を向ける」
たとえば過去に、プリペイド携帯電話の番号を変えたり使えなくなったことがあるかどうか。同じ家に住み続けられるとは限らないこのご時世、携帯電話番号は住所よりも確実に相手と連絡が取れる連絡先だ。つまり、番号が変わる(使えなく)なるということは、雇ってくれるかもしれない企業や親族との連絡を、あえて絶とうとしているか、そうせざるを得なくなったかどちらかで、これはマイナスの基準だ。
ゼストは先ごろ、信用力がサブプライムより上のニアプライム層への貸付にも進出。この層には、信用力の高いプライム層から落ちてきた人々もいればサブプライム層から這い上がってきた人々もいる。
肝心なのは信用力が変わった理由だ。「短期的に多額の医療費負担に見舞われただけで、返済が期待できる借り手だ」といった切り分けをゼストはやろうとしているわけだ。
「『性格』と言ってしまうと語弊があるが、支払い能力と支払い意志の間には大きな違いがある」とメリルは言う。「金融取引だけに目を向けていては、意志のほうがよく見えなくなる」
メリルは心理学の博士号ももっており、データに裏付けられた「人となり」の分析は、一般的な審査基準よりも根本的に公平だと考えている。
「私たちはつねにあらゆるやり方で他人を評価しているが、データがなければ選択バイアスを用いることになる」と彼は言う。「人間に対する自分の知識を頼りにするということは、自分たちにもっとも似た人たちへの評価が甘くなることを意味する」
よく知っているということは予測可能ということだから、これはこれでリスク管理の一形態と言えなくはない。だがそれでは公平な審査にはならない。