震災仮設住宅の住環境改善で、宮城県の取り組み遅れが鮮明
玄関の網戸については、福島県が「工事業者と取り決めた仕様に当初から盛り込んでいた」(同課)一方、岩手、宮城両県は仕様に含めていなかった。岩手県はその後、住民からの要望を踏まえて追加工事を実施しているが、宮城県内での実施はわずか3.9%にとどまっている(表参照)。そのため、夏場に大発生したハエの侵入に悩まされた住民は多く、市町村に苦情の声が寄せられていた。
仮設住宅の「暑さ寒さ対策」について、厚労省は6月21日の被災県宛て通知で「断熱材の追加や2重ガラス化、日よけ、風除室の設置など地域や入居者の実情に応じて追加的に対応した場合に必要となる相当な経費の増額について国庫負担と対象となること」を伝えている。
しかし、今回の調査から、特に宮城県で対策が不十分だったことが判明。厚労省は9月28日に寒さ対策について改めて通知を発出。「本格的な冬を迎える前に早急に措置を講じる必要がある」と対策実施を促している。
それを踏まえて宮城県では翌29日に仮設住宅を設置している県内市町の担当者を集めて説明会を開催。各市町に早急な対応を要請した。だが、市や町から「一部工事について県による一括施工の要望があった」(宮城県保健福祉部震災援護室)ことから、外壁への断熱材の追加設置工事や窓の二重ガラス化、玄関先の風除室の整備工事など5項目については県が一括してプレハブ建築協会を通じて施工業者に発注することになった。宮城県では今後、寒さ対策の詳細を詰めたうえで、対策を実施していく。
ただ、詳細なスケジュールが決まっていないこともあり、冬の到来どころか、冬が終わるまでに工事が完了しない可能性も取りざたされている。
■玄関には雨避けのひさしや囲いがあるものの寸法が短く、雨風が屋内に吹き込む
(宮城県石巻市)
■水はけが悪いため、住民からは側溝設置の要望も(宮城県石巻市)