首都圏の湾岸高層マンション、大震災後も人気の“なぜ”

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「震源地からの距離や地盤の強度など諸説考えられるが、結果として江東区の湾岸エリアで今回の地震による液状化の被害はほとんどなかった。それが両者の明暗を分けた」と東京カンテイの中山登志朗上席主任研究員は分析する。

首都圏の人口10万以上の市区で、対前年比で下落率が3ポイントを上回る大幅悪化となったのは、浦安市と千葉市美浜区のみ。どちらも沿岸部が軒並み液状化の被害を受けた地域だ。一方、その他の市区では、リーマンショックに伴う地価下落基調から脱しつつある、という震災以前からの傾向が継続しているという。

住宅価格も底堅い。東京カンテイのまとめでは、江東区の中古マンションの売却希望価格(1坪当たり)は、10年平均の179・5万円から11年1~8月平均で182・1万円へ上昇している。浦安市が165・6万円から161・7万円に下落したのに比べると対照的だ。

そもそも、震災以前から江東区の湾岸エリアの高層マンションに対する人気は高かった。「銀座からタクシーでワンメーターの距離にしては割安な物件が多い」(不動産経済研究所の福田秋生企画調査部長)。

埋め立て地で大量供給できるため、販売価格は都心部より低く抑えられている。加えて、オフィスの中心街である丸の内や大手町への通勤も便利とあって、高所得層のサラリーマンを中心に売れていた。

震災直後こそ需要は激減したが、有事の際も徒歩で帰宅できるなどの理由から、夏場以降は再び持ち直しているという。

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