振興銀行“査定”の適否、最終譲渡直前に引当増
日本振興銀行のスポンサーにイオン銀行が有力視される中、金融整理管財人の預金保険機構(預保)が増資の引き受けを行った。
振興銀行の暫定的な受け皿銀行である第二日本承継銀行が増資したもので、引き受け額は88億円。9月末の中間決算で改めて自己査定した結果、貸出債権に対する貸倒引当繰入(約127億円)発生が見込まれるのが原因という。引当計上による財務内容悪化で、国内銀行に要求される自己資本比率規制4%が維持できなくなるのを回避する。
それにしても、過去のプロセスを見返すと、引当発生額は余りにも大きい。昨年9月の経営破綻以降、預保は振興銀行の資産査定を行い、今年4月に正常先や要注意先の貸出債権の一部を「適資産」とし、承継銀行へ譲渡。それ以外の「不適資産(=不良債権)」は、整理回収機構に売却している。つまり適・不適の切り分けをして間もない。
破綻直前の総貸出債権は約4200億円で、適資産として承継銀行へ譲渡されたのはわずか360億円。額の少なさからも振興銀行の融資がいかにずさんだったかわかる。
今回の自己査定では、債権分類が破綻懸念先まで落ちた取引先もあるという。4月からわずか半年足らずで、多額の引当が必要になるほど適資産がなぜ劣化したのか。預保は、適資産とした査定の時期が2月で個々の決算情報も乏しく、「当時の資産査定には制約があった」と説明する。また「3月の東日本大震災以後の影響も織り込んだ」のも理由に挙げている。