浦和レッズ、売上高100億円突破後の次の一手 田口誠社長が見据える経営戦略と将来ビジョン

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「2008年前後は、週末の埼玉スタジアムはつねに満員に近い状態でしたけど、売上高は70億円規模だった。やはりパートナー営業強化が収入規模の引き上げに大きく寄与しています。

2008年のスポンサー収入は24億円程度でしたが、2023年は42億円を超えている。それはコロナ禍にテコ入れを図った営業活動によるところが大でしょう。1年間でパートナー企業が5社増加し、レッズビジネスクラブ(RBC)というクラブをサポートいただく企業の組織体への加盟も48社増えました。

2018年から始めた『パートナー紹介制度』を通して、埼玉りそな銀行さんから約100社を紹介いただき、行政書士や医師会など地域に即した法人の協賛が増えたことも基盤強化につながった。やはり地元の応援というのは何よりも大きな力になる。非常に心強いですね」と田口社長はしみじみと言う。

こうして浦和レッズの経営は右肩上がりで推移したが、2024年はやや厳しい展開になっている。昨季J1・4位ということでACLには参戦できず、FCWCは開催されない。天皇杯も昨年のサポーターによる暴力行為の制裁で参加権利剥奪となってしまった。残された2つのタイトルも、ルヴァンカップは1stラウンド3回戦で敗退。J1も24試合終了時点で10位と苦戦を強いられているのだ。

2024年は将来に向けた投資の年

そんな中、クラブOBの西野努テクニカルダイレクターが退いて、同じOBで40代の堀之内聖スポーツダイレクター(SD)が就任。シーズン折り返しの6月にはキャプテン・酒井宏樹、副キャプテンのアレクサンダー・ショルツ(アルワクラ)、ベテランの岩尾憲(徳島)ら主要選手が立て続けにチームを去った。現在はペア・マティアス・ヘグモ監督や新キャプテンの伊藤敦樹中心に立て直しを図っているが、現場の急激な変化に対してさまざまな懸念や不安の声が寄せられているのも事実だ。

田口社長は反響の大きさを受け止めつつ、「2024年は変革と投資の年」と強調。新たな体制強化に注力する構えだ。

「2024年は前年のように賞金がなく、試合数も減ることを考えると、入場者数こそ堅調に推移しているものの、2年連続100億円超は難しいと見ています。

けれども、我々には2025年から新たな形でスタートするFCWCの出場権がある。来年夏に第1回がアメリカで行われる予定で、32カ国が参加します。出場賞金だけで数十億円という情報もある中で、クラブ経営や現場の成長にとっては大きなプラスの機会になる。そこから逆算して、チームもクラブも強固な体制を築き上げていかなければいけない。今はできるだけのことをやるつもりでいます」

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事