リストラ案で試された東電調査委員会の真価、厳格な対応はできるのか

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「経営改革を本気で考えるなら、議論の期間が短すぎる」(同委員)との指摘もある。委員会は6月16日から非公式も含め会合を開いてきたが、1回の議論は2時間程度。9月半ばの会合では、「卸市場の競争強化の必要性検証」や「スマートメーター導入」に加え、「東電の長期的な在り方」まで、多岐で広範なテーマを議論。これでは詰められる内容も限られる。

調査委は報告書をまとめた後に解散。後継として、新設の原子力損害賠償支援機構が、東電の運営を監視する。ただ、理事長には新たに一橋大学前学長の杉山武彦氏が就く一方、運営委員会には調査委員が横滑りすると見られ、監視体制はさほど変わらない可能性が高い。

損害賠償支払いへ向け、国から莫大な「借金」をする東電には、徹底的なリストラは必要最低限の条件だ。その唯一の監視役である調査委や機構には、誰もが納得できる厳格な対応が求められる。
(倉沢美左 =週刊東洋経済2011年10月1日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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