iPhoneはもう不要?あの最新機がすごい! アップルの「お買い得ガジェット」に異変

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ただ、このデータ料金は定額ではなく、ユーザーはWi-Fi環境であらかじめダウンロードするなどしてiPhoneに音楽を保存して使う方法が主となるはずだ。というのも、契約しているデータ通信の容量すべてを音楽に振り向けることは、われわれのライフスタイルの上では不可能だからだ。

スマートフォンで音楽に全力を注げない理由はまだある。スマートフォンの保存容量とバッテリーだ。スマートフォンは生活の中での汎用的なデバイスとなっており、データ通信、保存容量、バッテリーを、すべての「スマホでやること」で共有しバランスを取らなければならない。

もしも、データ通信料を節約しながら、より多くの音楽を同時に楽しもうとした際、最大容量のiPhoneを2年ごとに購入してもよいが、iPod touchで音楽機能を独立させて利用する手も考えて良いだろう。

iPod touchの新たな意味

筆者はiPhoneを利用しているユーザーであるため、音楽を思い切り楽しむ際に、別のデバイスがあっても良いのではないか、という視点で話してきたが、iPod touchをサブではなく、メインの役割として採用するユーザーの存在も見逃せない。

その視点を考える際、アップルは今回のiPod touchを最新のiPhoneと同様の実はiPhoneにおける「失敗」からよく学んでいる、と指摘できる。

廉価版として発売したiPhone 5cは、価格がそこまで安くなかったことに加えて、性能がiPhone 5sと比較して低かったこと、結局2年契約などを前提とした自由度がなかったことから、ミドルレンジ、ローレンジのスマートフォン市場での存在感を示すことはできなかった。

もしiOSプラットホームに参加するユーザー、すなわちゆくゆくハイエンドのiPhoneを購入してくれる確度の高い予備軍を作りたい場合に何をすべきか。今回のiPod touchの仕様は、そうした視点から万全なデバイスに仕上がった、と見ることができる。

すなわち、iPhoneと同等の高性能を発揮し、プラスチックではない金属の高い質感を楽しむ事ができることが、iPod touchにおけるアップルらしさの発揮となるはずだ。このデバイスは、新興市場や、モバイル通信機能がいらない子ども向けだけでなく、日本のガラケー+モバイルルーターを利用しているユーザーにも十分訴求する存在となるだろう。必ずしもiPhoneを買わなくても、最新のアップルの世界観を味わえる時代になったのである。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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