釧路が都心からの滞在体験で断トツ人気の理由 夏の最高気温は東京より10度、札幌より5度低い

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北海道では、何をするにしても車が不可欠だが、そのあたりの事情はどうなっているのか。

「格安のレンタカーのプランがあります。軽自動車だと1カ月4万円程度、普通車でも5、6万円で借りられます。リピーターの方はフェリーで苫小牧や小樽まで来て、そこから観光しながら釧路まで来る人もいます」(釧路市市民協働推進課)。

人口減が進んでいたが少しずつ光明が

首都圏、近畿圏、中京圏といった大都市圏からの長期滞在者増加という現象は、釧路にどんな影響を与えているのだろうか。

釧路市の人口は1980年時点で22万7234人だった。その後、水産業や石炭産業の衰退もあり現在は15万5593人まで減った(2024年6月末)。進学や就職を機に若者の流出が止まらず、2023年は20代656人、30代124人(日本人)の転出超過となっている。

しかし、最近は明るいニュースも報じられている。2021年に撤退した日本製紙の跡地(80ヘクタール)の一部に、大林組子会社と中部電力の合弁会社が製材工場を建設するという。敷地面積は19ヘクタールで、2027年操業開始予定。この跡地には去年、ホームセンターなどが入る複合商業施設の建設も決まっており、跡地利用が課題だった市にとっては大きな前進だ。

交通インフラの整備も進んでいる。道東道の阿寒IC~釧路西IC間17キロが2024年度中に開通予定で、これで札幌まで繋がることになり所要時間も短縮される。

「シニアの方々を中心にした長期滞在という動きが定着することは、釧路を訪れる人の分母、裾野の広がりにつながります。こうした方々のニーズに応える形で駅前などの再整備が進んでいくことで、ひと夏の長期滞在から2拠点生活や移住へ繋がっていけばと思っています」(市民協働推進課)

大都市で酷暑が続く中で、涼しさや大自然を求めた移住の流れが促進されれば、釧路の活性化、再生も夢物語ではなくなるかもしれない。釧路市の取り組みが今後、「霧の街」にどんな変化をもたらすのか、注視していきたい。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログも執筆。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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