【産業天気図・電子部品】「晴れ」続くが、下期は円高など不安要因も

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電子部品業界の景況は、今06年度上期は「晴れ」が続く見込み。下期も堅調に推移する可能性が高いが、為替や米中経済など不安要因も多い。サッカーW杯後に薄型テレビなどデジタル家電の需要が減退したり、値崩れを起こす恐れも指摘され、後半に向けては不透明感を否定できない。
 電子情報技術産業協会が集計した電子部品業界(参加93社)の今年3月のグローバル出荷額は3986億円、前年比115.7%と05年3月以降13カ月連続の対前年比プラスを記録。特に昨年8月以降、8カ月連続で2ケタ以上の伸長を示している。品目別では、受動部品が前年比114.1%、接続部品121.2%、変換部品111.0%、その他電子部品118.2%。変換部品は10カ月連続、接続部品、その他電子部品は8カ月連続、受動部品は5カ月連続して2ケタ成長を示している。
 4月以降も堅調のようだ。コンデンサー最大手の村田製作所では「4月も月次ベースでは好調。顧客のフォーキャスト(生産計画)は強い。大容量コンデンサーや表面波フィルターなどの高周波部品は取り合いで品薄状態」(幹部)という。2000年のITバブル当時のような需給逼迫感も指摘され、「携帯電話、ノート型PC、薄型テレビ向けなど、少なくとも今上期までは需要は強そう」(同)との見方だ。昨年前半まで半期で6~7%下がっていた単価も、今年に入ってからは5%程度の値下がりで落ち着いているという。
 しかし、一部ではW杯後のAV反落も懸念される。薄型テレビは特に調整を余儀なくされる恐れが強い。ただ、一時的調整はあっても、デジタル家電の市場拡大基調は続く見通し。携帯電話もワンセグなどで今年も2ケタ成長が見込まれる。今年後半には「プレステ3」など次世代据え置き型ゲーム機が市場投入され、部品業界にも夏以降、売り上げ面で寄与してくる。最近の通信・電子機器は部品点数が増える一方で、数量的なインパクトも大きい。08年の北京五輪や10年の上海万博というビッグイベントを控え、中国の経済拡大も続く見通しで、中長期的には需要拡大楽観論もある。

ちなみに今期の電子部品業界大手7社の業績見通しは、以下の通り。
 ・京セラ<6971.東証>   4%増収/19%営業増益
 ・村田製作所<6981.東証> 10%増収/14%営業増益
 ・日東電工<6988.東証>  17%増収/12%営業増益
 ・ローム<6963.東証>   4%増収/8%営業増益
 ・TDK<6762.東証>   3%増収/35%営業増益
 ・日本電産<6594.東証>  8%増収/22%営業増益
 ・アルプス電気<6770.東証>1%減収/30%営業減益
    
 大半が増収増益見込みだが、懸念材料として上述のように、円高や米国など海外景気、金利動向などもある。電子部品業界は輸出が多く、海外景気への依存度が高い。特に米国ではインフレ懸念と同時に景気減速懸念が高まっており、中国経済や為替相場などへの波及も心配されるところだ。
【中村稔記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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