夏の旅行シーズンで明らかになる「貧富の差」 インフレの夏、高級ホテルは盛り上がる一方で

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(写真:Scott McIntyre/Bloomberg)

アメリカの旅行業界は、今年もまたアツい夏を迎えている。少しだけ割安になった航空券や燃料費を追い風に旅行者が空港へと足を伸ばしているからだ。しかし、2024年の行楽シーズンの先行きは「快晴」とは言いがたい。今年のアメリカのほかの消費状況と同様に、旅行も大きく明暗が分かれている。

低所得層相手の企業は業況悪化

旅行業界の屋台骨を支えてきたリッチな消費者の多くは、好調な株式市場や住宅価格の高騰によって保有資産が膨れ上がり、気分をよくしている。豊かな消費者もここ数年は急激なインフレのあおりを受けてきたのは確かだが、彼らの予算にはかなりの余裕があり、たとえば「ホールフーズ」から「ウォルマート」に切り替えるといったように有名ブランドから普通のブランドへとグレードを落とすことでインフレの痛みを和らげる選択肢も数多く手にしている。

対する低所得世帯は、物価高の直撃をかわす余地が少ない。失業率は低水準にとどまり、賃金もとくに低賃金層で大きく伸びるなど、近年の労働市場は堅調に推移しているとはいえ、アメリカの低所得層では経済的なひずみが顕在化しつつある。クレジットカードの滞納は増加し、多くの低所得者は家計への不安感を強め、低所得層を相手にする企業の業況も苦しくなっている。

高所得層と低所得層の格差は何年にもわたって拡大し続けているが、この夏の旅行シーズンでその格差が鮮明になると予想されている。各種調査が示しているように、旅行できる余裕があるという楽観的な見方は豊かな世帯ほど強く、フルサービスホテルのように経済力のある層が好んで利用するサービスは活況を呈している。これとは対照的に、低価格帯のホテルチェーンは業績が苦しくなる見通しだ。

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