「子どもは無料」で簡単につられる大人たちの盲点 企業側の仕掛けには「わかったうえで」乗りたい

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子どものチケット代分など、すぐに追い抜いてしまうだろう。ついでにお弁当だって1000円近くするので、観戦人数が多ければ多いほど、財布は軽くなる仕組みだ。

「子どもの観戦無料」でスタジアムに家族を呼び寄せれば、それ以上のお金を落としてくれる。まさに「トクすると見せて、余計なお金を使わせる」うまいからくりではないか。

今の消費行動は子ども時代に刷り込まれたもの?

プロ野球チームが子どもに大盤振る舞いするのは、親にお金を使わせるためだけではない。子ども時代になじんだ体験は、成長してからの消費行動にも影響を及ぼす。子どもの頃から球場に通っていれば、そのチームに親しみを感じるようになり、大人になってからも贔屓にしてくれる確率が高まるだろう。

その大人が親になり、また子どもを連れて通ってくれれば、延々とお金を落としてくれることになる。文字通り、長期投資というわけだ。それを考えれば、子どものチケット代を無料にすることくらい何でもない。

ちなみに阪神タイガースは会員である親が子どもをキッズ会員にして「ファミリー申請」すれば、子ども分の公式戦チケットが10試合分まで無料で申し込めるとか。なるほど、こうして世代を超えた熱狂的な阪神ファンが生まれていくわけだ。

野球だけではない。子どもの頃に見ていたアニメやドラマの影響で、サッカーやテニスを始めた人もいただろう。テレビのヒーロー番組も同じで、子どもの頃に「仮面ライダー」を見てオートバイに興味を持ち、実際にライダーになった人も何割かいるはずだ。

子ども時代に触れたものが大人になってからの消費に結びつくと考えれば、リアルにしろバーチャルにしろ、企業が子どもに体験を提供するのは大事な種まきというわけだ。

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