「子どもは無料」で簡単につられる大人たちの盲点 企業側の仕掛けには「わかったうえで」乗りたい

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また、普段は車で出かけるが、100円なら電車のほうが安いかもと感じさせる効果もある。なにせ、100円ショップだって200円以上の品ばかり並んでいるというご時世だ。「子ども100円」には、大人ごとまとめて引き寄せる磁力があるのではないか。

野球観戦がタダに! ファンクラブの大盤振る舞い

そんな例は他にもある。例えば、プロ野球のファンクラブだ。多くのチームには大人向けだけでなく、キッズやジュニアといった名称で中学生以下を対象とした子ども会員がある。しかも、子ども向け特典として、ホーム球場での試合が無料で観戦できたりするのだ。

(画像:広島カープのサイトより)

セ・リーグでは広島カープの「ジュニアカープ」がマツダスタジアムの内野自由席が全試合入場無料(売り切れの場合は制限あり)、読売ジャイアンツの「キッズメンバー」だと東京ドームの内野2階席ペア招待1試合分、横浜ベイスターズ「キッズコース」では観戦チケットとの引換チケットが3枚もらえる。

(画像:ロッテマリーンズのサイトより)

パ・リーグ陣も熱心だ。ロッテマリーンズ「ジュニア会員」は平日公式戦の一部指定席が無料(除外試合あり)。日本ハムファイターズは小学生以下のメンバーに5試合分の指定席招待券が、西武ライオンズもベルーナドームでの一軍公式戦の観戦が全試合無料(当日残席がある場合。試合によって内野・外野指定席等の席種が異なる)と、大盤振る舞いこのうえない(※2024年会員の場合)。

チームごとにサービスに差異はあるが、プロ野球の試合が「無料」で見られるというのは魅力的だろう。「全試合無料」なんて魅力的なワードが目に入れば心は動く。むろん年会費はかかるが、数千円なら1~2試合行けば元が取れるというもの。近郊テーマパークの入場料よりずっと安あがりですむのだ。

球団にとって”損なし"のカラクリ

しかし、こちらもそんなにうまい話ばかりではない。からくりはおわかりだろう。自宅がスタジアムから徒歩5分という環境でない限り、たいていは大人が子どもを連れてくる。大人は子と違っていつでも無料というわけにはいかないので、当然チケット代が別にかかる。

スタジアムに来れば飲食もするし、お土産にグッズを買うかもしれない。特に飲食代は馬鹿にならない。子連れではアルコールは飲まないかもしれないが、スタジアムで販売する生ビールはどこよりも高いのだ。東京ドームでは、なんと1杯900円もする。

スタジアム売り子
(写真:笹尾秀一/PIXTA)

ほか関東の球場では、横浜スタジアム800円、マリンスタジアム950~850円、西武ベルーナドーム800円などと、お代わりを頼むたびに千円札が羽が生えたように飛んでいくのだ。

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