生成AIへの取り組みでアップルの歯切れが悪い訳 協業するオープンAIとの間にも微妙な距離感

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このアップルとオープンAIとの協業が発表された後、もともとオープンAIの創業メンバーであったテスラCEOのイーロン・マスク氏は、「セキュリティ上の理由で社内でのiPhoneの使用を禁止する」「渡してしまったデータをオープンAIがどう扱うか、アップルはわかっていない」という激しいコメントを出し、対立の様子をうかがわせます。

同時に、マスク氏はオープンAIへの「創業理念からの逸脱」についての2024年2月からの訴訟を取り下げており、アルトマン氏とマスク氏の確執は違う段階へ変化しています。

格段の進歩を見せたオープンAIの「GPT-4o」

Google I/Oが開催された前日に、当てつけるように、オープンAIが新モデル「GPT-4o」を発表しました。こちらは、リアルタイムのデモをライブ配信で発表していました。

GPT-4oの最大の特徴は、音声の反応スピードの速さです。まるで人間同士で会話をしているかのような自然でなめらかな会話が続き、さらに、英語とイタリア語の同時通訳をする様子も披露されて、大いに話題になりました。

従来のタイムラグがなくなったことに加えて、会話の途中で相手(人間)が話し始めたらAIは自分の話をいったんストップする、といったような、いかにも人間らしい対応も見られました。

グーグルとは対照的に驚きの多い発表でしたが、オープンAIにも懸念はあります。GPT-4oを発表した翌日に、同社の共同創業者であり、チーフサイエンティストでもあった、イリヤ・サツキバー氏が退任することが発表されたのです。

サツキバー氏は、ChatGPT開発の重要人物であると同時に、高度化する生成AIの危険性に備えて安全対策をするチームのトップでもあり、さらに、2023年のアルトマンCEOの解任騒動劇の関係者でもありました。

新製品リリースの翌日に安全対策チームのトップが退社するというタイミングを考えると、もしかすると、開発競争の激化に伴い、オープンAIにおいて安全対策が軽視されている状況が反映されているのかもしれないとも考えられます。

サツキバー氏の他にも、生成AIの性能向上ばかりに注力する方針に批判的だった幹部が相次いで退社したことも明らかにされています。

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