東武、深夜の越谷駅に「スペーシアX停車」の狙い 台風想定「避難訓練」で特急・通勤車両6本が集合

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深夜1時10分ごろ、北春日部駅に最終電車が到着した後に各列車が避難を開始した。北春日部で非常持ち出し備品を積んだ春日部支所所属のリバティは、人気のない駅をどんどん通過しながら都心方面へ向かい、北千住駅付近で方向を転換。下り線を進み、越谷の急行停車線のホームに到着した。スペーシア Xは10分後に北春日部を発車し、リバティの後を追ってきた。

ほかの列車も次々とやってきて、越谷駅構内の下り通過線にスペーシア X、隣の急行停車線にリバティ、ホームの向かいの緩行線にTHライナー用の70090型が並んだ。

越谷駅 スペーシアX リバティ 70090 並び
越谷駅下り線の“避難車両”。この前後にも車両が停まっている(記者撮影)

列車の縦列駐車も

さらにリバティの後方には南栗橋から参加した地下鉄半蔵門線直通車両の50000系10両が停車。70090型の前後の閉塞区間にはそれぞれ日比谷線直通車両70000系(いずれも7両)の“縦列駐車”が完成した。リバティの車内で出発点呼の訓練を実施した後、各列車は始発電車が走り出す前に車両基地へ帰っていった。

今回は館林乗務管区の運転士と車掌がリバティを運行、春日部乗務管区の助役が出発点呼を担当するなど、普段の乗務で実際にありうるケースを想定した。このほか、アーバンパークラインの七光台からも列車1本を野田市駅の高架に避難させる訓練を実施している。

東武鉄道車両避難訓練 越谷駅下り線図解

同社運輸部管理課の担当者、中澤耀介さんは「普段から館林乗務管区の乗務員が春日部乗務管区に宿泊しているが、災害が起きた際も別の管区と連携して避難できるか確認するのも今回の訓練のポイント」と説明。縦列駐車については「避難計画に近い形で越谷駅構内の各閉塞区間に詰めて停車させてみることにした」という。

運輸部の入江一仁運転課長は「自然災害が激甚化しているなかで、鉄道事業を維持していくためには、車両をできるだけ多く高いところに逃がし、乗務員を避難させることを考えておかなくてはならない。非常事態に遭遇する前に訓練を積んでおく必要がある」と話す。

車両基地が浸水する前に車両を退避させることができるかどうかは、入念な避難計画の策定だけでなく、実践的な訓練の練度にかかっているといえそうだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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