東武、深夜の越谷駅に「スペーシアX停車」の狙い 台風想定「避難訓練」で特急・通勤車両6本が集合

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特急停車は東武鉄道が実施した「車両避難訓練」で実現した。東武スカイツリーラインと日光線、東武アーバンパークラインといった本線系統には、春日部や南栗橋など大雨で浸水する恐れのある車両基地が存在する。そのため同社では、災害が想定される場合に車両を高架に移動させる避難計画を策定している。

これらの車両基地に所属する列車は、どの駅のどこに避難させるかがあらかじめ決めてある。特急車両や新しい車両を先に逃がせるようにするが、特急ばかりを避難させても再開後の運用に支障が出るため、バランスを考慮した優先順位がある。地下鉄直通用も優先される。

春日部駅の1つ隣、北春日部駅周辺には車両基地の南栗橋車両管区春日部支所と、運転士や車掌が所属する春日部乗務管区が置かれている。訓練は同乗務管区を中心に実施した。

リバティ 北春日部駅 備蓄品搭載
北春日部駅からリバティに備蓄品を載せて“避難”する(記者撮影)

訓練は大型台風接近で車両基地や施設に浸水の恐れが発生することを想定。水や食料のほか、アルコール検査器、出発点呼簿など、非常持ち出し備品を列車に積み込む手順も確認した。実際に乗務区の建物が使えなくなった場合は、列車内に「仮設本区」を設け、点呼やアルコール検査を実施することもありえる。

スペーシア Xが初参加

2021年から毎年実施している訓練は今回で4回目となる。最初の2021年にスカイツリーラインで2本、アーバンパークラインで1本の列車が参加。2022年はそれぞれ6本と2本に増やして負荷をかけることにした。2023年は日光線の栃木駅の高架に特急車両の100系「スペーシア」を避難させるなど変化を加えた。

2024年はN100系「スペーシア X」が初めて参加した。2023年に登場した同社の新たなフラッグシップ特急で、7月15日でデビュー1周年。浅草方先頭車の6号車には伝統の個室「コンパートメント」に加えて、プライベートジェットをイメージしたという最上級「コクピットスイート」、東武日光方の先頭車の1号車にはソファを配置した「コックピットラウンジ」など、豪華な仕様となっている。

東武 車両避難訓練 リバティ車内
乗務管区が水没するなどの非常時には列車内に「仮設本区」を設置することも想定している(記者撮影)
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