東海道新幹線の「異常時対策訓練」何が変わったか 深夜の営業線を使って、車内の不審者に対峙
JR東海は東海道新幹線で緊急事態が発生した場合に備えた異常時対応訓練を絶えず実施している。昼間に車両基地内で行うこともあれば、営業運転終了後の深夜に営業線を使って行うこともある。
訓練のテーマは毎回異なる。以前は運行中における大地震や火災の発生を想定した訓練が多かったが、2021年に小田急線や京王線で相次いで起きた車内傷害事件を受け、最近は車内で同様の事件が発生した際の現場対応力を高めるための訓練が増えている。
車内事件を想定した訓練が主流に
2022年6月13日の深夜には、営業終了後の品川―新横浜間で実際の新幹線車両を使った訓練が行われた。走行中の車内で不審者が刃物を用いて周囲に危害を加える状況を想定し、乗務員、パーサー、警乗警備員、指令員が駅係員や警察と連携しながら乗客を速やかに避難誘導するというものだ。
車内で突然、刃物を持った不審者が暴れ出したら、多くの乗客はその車両から逃げ出すし、非常ブザーも押されるだろう。従来は、走行中の車内で非常ブザーが扱われた場合、運転士はその場で緊急停止することとしていた。しかし、小田急線や京王線の車内傷害事件を受け、速やかに適切な箇所に列車を停止させるという対策を国がまとめた。これを踏まえ、JR東海は、適切な箇所として最寄り駅まで列車を走行させるという取り扱いをすることとした。乗客が速やかに車外から駅ホームに避難できるようにするためだ。
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