東海道新幹線の「異常時対策訓練」何が変わったか 深夜の営業線を使って、車内の不審者に対峙
駅に到着した列車が適切な停止位置からずれて停止した場合、列車の停止位置を修正した後に乗降扉とホームドアが開扉される。しかし、緊急事態では運転士には列車を定位置で停車させるだけの時間の余裕がないかもしれない。そこで、訓練では停止位置を修正せず、乗降扉と駅のホームドアの双方を開扉する。
乗降扉とホームドアの位置がずれているが、乗客はスムーズに避難できるか。そんな状況での訓練の内容を2022年7月4日付記事(「東海道新幹線『3つのカイゼン』で目指す将来の姿」)で詳しく説明している。
「通過駅に列車を停めて避難」する訓練
その1年後の今年6月7日には、鳥飼車両基地で実施された総合事故対応訓練の1つとして、車内の不審者を想定した警察との連携訓練を行っている。営業線を走行する列車内ではなく、車両基地に留置された列車内での訓練という点を除けば2022年6月の訓練とほぼ同じだが、訓練概要には、「警察が捕獲する訓練を実施」と記載されている。警察が実際の車両を使って訓練をする機会は決して多くない。つまり警察にとっても重要な訓練であることがわかる。
そして、10月30日の深夜にも品川―新横浜駅間で実車を用いた異常時対応訓練が行われた。今回の訓練のポイントは単に最寄り駅に停車するのではなく、通過予定だった最寄り駅に列車を停車させるというものだ。
乗客目線では2022年6月の訓練と変わらないかもしれないが、通常であれば停車しない駅に停車するのだから、進路の変更が必要になるなど、運行管理面で非常に重要な訓練となる。また、突然列車が停車することになった最寄り駅でも、ホーム上にいる客を事前に避難させたり、駆けつけた警察を誘導したりするなどの対応も必要だ。要するに、1年前の訓練よりも実践的な訓練というわけだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら